お墓のお役立ちコラム

先祖代々のお墓を墓じまいしたいけれど、どうすればいいの?

「後を継ぐ人がいないので、先祖代々のお墓を墓じまいしようと思うんです…」といったご相談をよくお受けいたします。

少子高齢化や生活スタイルの多様化が進む現代社会の中、先祖代々のお墓をどうすれば良いのか、墓じまいをして永代供養墓に移したいとお考えの方はだんだんと増えているようです。

こうした先祖代々のお墓を墓じまいして別へ移したりすることを「改葬」といいます。

今回のコラムでは、先祖代々のお墓を墓じまいするにはどうしたらいいのか、改葬の方法やその手順、メリットとデメリット、かかる費用などを解説していきます。是非参考にしてください。

目次

先祖代々のお墓がある方の悩み

先祖代々のお墓を守ってきた親が亡くなったことをきっかけに、自分以外にお墓を継ぐ人がいない、しかも実家からは離れたところで生活をしている方にとっては、先祖代々のお墓をどうすればいいのかということが、非常に大きな悩みになっているようです。

自分の親をそのお墓に入れてもお墓参りにも行きづらく、ましてや自分だけならまだしも、自分の子どもにまでそういった苦労をかけることはしたくないと思うからです。そこで墓じまいという考えが出てきます。

これまでの習慣として、お墓は子孫が実家を継いでいくものという考えがあり、それを前提として先祖代々のお墓が成り立っていたところがあります。ところが冒頭にも書いたように少子高齢化や、生活スタイルの多様化で、先祖代々のお墓を引き継いでいくということが困難になり、墓じまいすることを考える方は増えてきているのです。

先祖代々のお墓を墓じまいする人はどのくらいいるの?

厚生労働省発表の「令和4年度衛生行政報告例」によると、墓じまい(改葬)は15万1076件で、平成25年度(2013年度)の7万9749件にくらべ、この10年間で約1.7倍も増加しています。

全国墓じまい件数グラフ

 

先祖代々のお墓を墓じまいして、その後の改葬とは

先祖代々のお墓を墓じまいをすると、そのお墓から出した遺骨は改葬しなければなりません。

改葬の方法としては以下のような方法が挙げられます。

①永代供養墓への改葬

先祖代々のお墓を墓じまいして、先祖代々の遺骨を永代供養のお墓に引っ越しする方法です。

永代供養墓には最近よく選ばれるようになってきた樹木葬や合祀墓などがあります。

樹木葬にはその中にも、個別に埋葬して供養をするタイプや、他の方の遺骨と同じ場所に埋葬して供養をするタイプなど様々なタイプにわかれてきます。また、霊園や墓地によっても細かな違いがあるので、墓じまいをする際はしっかり選ぶようにしましょう。

合祀墓は、先祖代々のお墓から出した遺骨を他の方の遺骨と一緒にする方法です。お墓を継ぐ人がいない、または先祖代々のお墓を墓じまいして一旦お墓に区切りをつけたいといった方に選ばれています。


樹木葬についてはこちらに様々な情報を載せています。ぜひ参考にしてください。
https://minnanoeitaikuyou.com/column_category/jumokusou/

②納骨堂への改葬

先祖代々のお墓を墓じまいして、先祖代々の遺骨を納骨堂に引っ越しする方法です。

樹木葬と並んで、特に都心部で需要が高まってきているのがこの納骨堂で、墓じまいした遺骨を屋内に設置された納骨スペースに遺骨を安置します。

こちらも納骨堂によって一区画が大きな仏壇のようなスペースが並んでいるものから、ロッカー式のようなタイプ、棚のようなところに位牌を並べて遺骨は別のところに安置するタイプなど様々です。都心部ではコンピュータ制御された自動システムで、参拝スペースに先祖代々の位牌などが移動されてくる納骨堂が増えてきています。


納骨堂についてはこちらに様々な情報を載せています。ぜひ参考にしてください。
https://minnanoeitaikuyou.com/column_category/noukotsu/

③その他の改葬

その他の改葬方法としては、墓じまいした遺骨を細かなパウダー状にして山や海などに散骨する方法や、一部の遺骨を小さな骨壷に移したりペンダントなどにして自宅で供養する方法です。

注意しなければいけないこととして、散骨はどこでも好きなところにできるわけではありません。散骨ができる場所は限られていますので、しっかりとした業者に依頼しましょう。

また墓じまいをして先祖代々の遺骨を散骨してしまうとお墓参りに行けなくなり、どうやって先祖代々の供養をしていけばいいのか困惑してしまうことにもつながりますので、墓じまいして散骨などの方法をとる場合はその点も考慮するようにしましょう。

 

先祖代々のお墓を墓じまいする手順

先祖代々のお墓を墓じまいする手順を紹介します。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順1:家族・親族に相談して了解を得る

先祖代々のお墓を墓じまいすることを、自分一人だけで決めてしまうのは避けます。
兄弟など家族や親族の中には、先祖代々のお墓はしっかり守っていきたいと考えている方がいるかもしれません。

先祖代々のお墓を墓じまいをしてしまった後に「勝手に先祖代々守ってきたお墓をなくした」「今までのお墓がよかった」「墓じまいするなんて縁起が悪い」などと意見が出てトラブルにつながることもあります。

どうして先祖代々のお墓を墓じまいしたいのか、費用の負担のことや墓じまいをした後はそこに眠っていた遺骨をどう供養していくのかといったことをしっかり説明して、了解を得ておきましょう。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順2:墓じまいをした後の供養方法を決定(受入証明書の発行)

先祖代々のお墓を墓じまいしたあとの供養方法や供養先を決めます。先にあげた樹木葬や納骨堂への改葬、または散骨などの方法です。

先祖代々のお墓を墓じまいし、樹木葬や納骨堂へ引っ越しする場合、自治体によっては「受入証明書」が必要になることがあります。そうしたときには引っ越し先の霊園やお寺に「受入証明書」を発行してもらいます。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順3:先祖代々の墓がある霊園やお寺に墓じまいの相談をして了解を得る

先祖代々のお墓があるお寺や霊園に、墓じまいしたいことを相談して了解を得ます。

特にお寺にあった先祖代々のお墓を墓じまいするとき気をつけなければいけないこととして、まず第一に先祖代々のお墓があったお寺にしっかりと感謝の意と、どうして墓じまいしたいのかをを伝え、相談することです。

先祖代々のお墓を墓じまいすることをもう決めたこととして一方的に伝えると、それを聞くお寺としては気持ちが良いことではありません。お寺としても檀家がいなくなるということは収入が減ることにもなります。そういったことから、高額な離檀料を請求されるなどトラブルになってしまうことがあります。

墓じまいするときの離断料は受け取らない寺院もありますが、5〜20万円くらいを今までお世話になっていた感謝の気持ちとしてお渡しすることが多いです。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順4:行政手続き

先祖代々のお墓がある地域の市町村役場で「改葬許可申請書」を発行してもらいます。

この「改葬許可申請書」に記入して、墓じまいする先祖代々のお墓があるお寺や霊園にお願いして、署名と捺印をもらいます。

新しく先祖代々のお墓を引っ越しする先の「受入証明書」と、前述の「改葬許可申請書」をもう一度、先祖代々のお墓がある地域の市町村役場へ提出し「改葬許可証」の発行をしてもらいます。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順5:墓じまいの業者を選定

墓石は非常に重い石でできています。それを解体撤去する作業は素人にはできません。墓石が倒れたりすると大怪我をしたり、周りのお墓を損傷してしまうことにもなりかねません。こういった墓じまいの実質的な作業は石材店などの専門業者にしてもらうようにしましょう。

霊園やお寺によっては決まった業者がいることもありますが、そうでない場合は2~3の業者から見積もりを取り、どういった墓じまいの内容でどのくらいの費用がかかるのかを確認しましょう。あまりに安い業者だと墓じまいした後の墓石を不法投棄されるなどの心配があります。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順6:お墓の閉眼供養〜遺骨の取り出し

お寺の住職にお墓の閉眼供養(魂抜き)をしてもらいます。

法要後に遺骨を取り出すことになりますが、その作業はお墓の解体作業を依頼した石材店などの業者がしてくれることが多いです。
取り出した遺骨は、とりあえず自宅や納骨堂などに一時預けるなどして安置しておきます。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順7お墓を解体、撤去してお墓の管理者に返還する

手順5で決めた業者にお墓の解体撤去をしてもらい、更地にして管理者に返却します。公共の霊園などではこのとき、墓地を使い始めるときに発行された墓地使用許可証が必要になります。もし紛失してしまっていても再発行できるので、霊園や自治体に問い合わせてください。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順8:引っ越し先に改装許可証を提出

墓じまいして樹木葬や納骨堂などに先祖代々の遺骨を引っ越しする場合は、引っ越し改葬先の霊園やお寺に改葬許可証を提出します。

先祖代々のお墓を墓じまいする手順9:引っ越し先の開眼供養〜納骨

お寺の住職に新しいお墓の開眼供養(魂入れ)の法要をしてもらい、先祖代々の遺骨を納めます。
この納骨の作業も石材業者にお願いすることになります。

先祖代々のお墓を墓じまいして引っ越しするときの手順や費用については、こちらのコラムも参考にしてください。
https://minnanoeitaikuyou.com/column/1750/


先祖代々のお墓を墓じまいするメリット

先祖代々のお墓を墓じまいをするメリットをご紹介します。

①お墓の後継ぎを心配しなくて安心

少子化が進む現代、先祖代々のお墓があっても後継者が自分の後いないと心配する方は少なくないでしょう。後継者がいないお墓は無縁墓、先祖代々の遺骨は無縁仏としていつか処分されてしまいます。

しっかりと先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養墓に移すなどしておけば、後継者がいなくてもしっかり供養を続けてもらえるので安心です。

②お墓の管理が不要

先祖代々のお墓がある田舎を離れて暮らしている方にとっては、お墓参りだけでなくお墓の掃除や草むしりなどの維持管理をすることも容易ではありません。お墓が比較的近所にあっても高齢になると体力的にも大変になってきます。

先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養墓や納骨堂に改葬すれば霊園や寺院がお墓の管理を行ってくれるので、そういった作業も心配がなくなります。

③お墓を維持する費用の負担が軽くなる

先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養にした場合、年間の管理費や維持費などが必要ないことが多いので、一般的な従来のお墓に比べ維持費が大きく抑えられます。もちろんお寺に納める付け届けや護寺会費といった費用もかかりません。自分に子どもなど後継者がいたとしても費用的な負担をかけないで済みます。

先祖代々のお墓を墓じまいするデメリット

①いつかは合祀される

墓じまいして個別の区画に遺骨を安置する永代供養でもほとんどの場合、契約期間を過ぎると合祀のお墓に移して供養されることになります。

②合祀の場合、個人の遺骨を取り出せない

先祖代々のお墓を墓じまいした後の改葬先として合祀のお墓を選ぶと、合祀をした後は他の方の遺骨と一緒になってしまうため遺骨を取り出すことはできません。後になって「あたらしいお墓を建てたから、そこに先祖代々の遺骨も収めて供養をしたいと思ってもできなくなってしまうので、墓じまいをして合祀にする場合はしっかり家族やと親族と話し合いをするようにしましょう。

③改葬する費用がかかる

先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養などに改葬した場合、改葬後の費用は抑えることができますが、改葬そのものには費用がかかります。少ない金額ではないので、その点もしっかり考えましょう。

③トラブルになることがある

墓じまいのことで家族や親族、または先祖代々のお墓があったお寺と、考え方の違いや金銭的なことでトラブルになってしまうことがあります。

先祖代々のお墓を墓じまいしたいことをしっかりと家族や親族に相談して了解を取っておいたり、お寺に対しても感謝の意を伝えて墓じまいの相談をすることで、これらのトラブルは回避できるでしょう。

 

墓じまいのメリット、デメリットについてはこちらのコラムを参考にしてください。↓

墓じまいをして永代供養にする流れは?違いや費用、メリットも解説!

先祖代々のお墓を墓じまいするのにかかる費用は?

先祖代々のお墓を墓じまいするときにかかる費用は大まかに30万円~50万円くらいが相場で、大きく分けると4種類の費用が必要になってきます。またこれらの費用はお墓の大きさによって変わってきます。

・先祖代々のお墓の墓石の解体・撤去にかかる費用:1㎡あたりで約10万円~15万円

・閉眼供養のお布施:3万円~5万円

・お寺に納める離檀料:5万円~20万円

・行政手続きなどにかかる費用:数千円

永代供養にかかる費用

墓じまいして永代供養のお墓に引っ越す場合の費用は、合祀、樹木葬、納骨堂などのタイプによって変わってきます。

合祀のお墓で10万円から、個別の埋葬・納骨で一人用40万円から、納骨堂で一人用30万円からといったところが大体の相場になってきますが、その霊園により、また契約する供養期間や個別スペースの大きさになどよって費用は大きく変わってきます。

また、先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養墓に引っ越す場合は、その新しい場所へ納骨する際、納骨手数料が一体2万円程度かかります。


離檀料とはいくらなのか気になる方がいると思います。できればお寺に感謝の気持ちとして、普段の抱擁のお布施の2〜3倍くらいの額を、感謝の気持ちとしてお支払いしましょう。

先祖代々のお墓を墓じまい:まとめ

これまでのお墓は「家」のものとして、その家の家長となる人が継いで、先祖代々伝えていくものという意識が高くありました。ですが、時代の変化によりこういった考えも段々と薄れつつあります。

今まで続いてきた先祖代々のお墓をしっかり守っていくことはとても大事なことですが、守っていくにはやはり近くに住んでいた方がいいとか、子どもがいる必要があったりします。ですが全ての人がそういった条件にはまっているわけではありません。

先祖代々のお墓を墓じまいするというのは、決して後ろめたいことではなく、ご先祖様に対してしっかり供養を続けていきたいと考えるからこそのことです。

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