先祖代々のお墓を墓じまいするには?手順・費用・注意点を住職が解説
「先祖代々のお墓を守りたい気持ちはあるけれど、自分の代で管理が難しくなるかもしれない…。」
近年、墓じまいや改葬を検討する方は増えています。墓じまいは、お墓を撤去するだけではなく、取り出した遺骨をどこで供養するかまで考えることが大切です。
この記事では、先祖代々のお墓を墓じまいする手順や行政手続き、費用の目安、改葬の流れ、取り出した遺骨の供養方法まで、住職の立場から分かりやすく解説します。
目次
先祖代々のお墓の墓じまいを考える人が増えている背景
先祖代々のお墓を守ってきた親が亡くなったことをきっかけに、自分以外にお墓を継ぐ人がいない、しかも実家からは離れたところで生活をしている方にとっては、先祖代々のお墓をどうすればいいのかということが、非常に大きな悩みになっているようです。
自分の親をそのお墓に入れてもお墓参りにも行きづらく、ましてや自分だけならまだしも、自分の子どもにまでそういった苦労をかけることはしたくないと思うからです。そこで墓じまいという考えが出てきます。
これまでの習慣として、お墓は子孫が実家を継いでいくものという考えがあり、それを前提として先祖代々のお墓が成り立っていたところがあります。ところが冒頭にも書いたように少子高齢化や、生活スタイルの多様化で、先祖代々のお墓を引き継いでいくということが困難になり、墓じまいすることを考える方は増えてきているのです。
改葬はどのくらい増えている?最新データを紹介
厚生労働省発表の「令和6年度衛生行政報告例」によると、改葬件数は17万6105件で、平成25年度(2013年度)の8万8397件にくらべ、この11年間で約2倍に増加しています。
※出典:厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例 第4章 生活衛生 第6表(埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数)」
墓じまい後の遺骨はどうする?主な供養方法
墓じまいで取り出した遺骨の供養方法には、永代供養墓や納骨堂などへ改葬するほか、散骨や手元供養などがあります。
永代供養墓へ改葬する
先祖代々のお墓を墓じまいして、遺骨を永代供養墓へ改葬する方法です。
永代供養の方法には、樹木葬や合祀墓などがあります。
樹木葬にはその中にも、個別に埋葬して供養をするタイプや、他の方の遺骨と同じ場所に埋葬して供養をするタイプなど様々なタイプにわかれてきます。また、霊園や墓地によっても細かな違いがあるので、墓じまいをする際は気をつけて選ぶようにしましょう。
合祀墓は、お墓から出した遺骨を他の方の遺骨と一緒にする方法です。お墓を継ぐ人がいない、または墓じまいをして一度お墓を整理したいと考えている方の選択肢の一つです
樹木葬についてはこちらに様々な情報を載せています。ぜひ参考にしてください。↓
https://minnanoeitaikuyou.com/column_category/jumokusou/
納骨堂へ改葬する
先祖代々のお墓を墓じまいして、遺骨を納骨堂へ改葬する方法です。
納骨堂は屋内に遺骨を安置する供養方法で、都市部にも多く見られます。墓じまいした遺骨を屋内に設置された納骨スペースに安置します。
こちらも納骨堂によって一区画が大きな仏壇のようなスペースが並んでいるものから、ロッカー式のようなタイプ、棚のようなところに位牌を並べて遺骨は別のところに安置するタイプなど様々です。都心部ではコンピュータ制御された自動システムで、参拝スペースに位牌などが移動されてくるタイプの納骨堂もあります
納骨堂についてはこちらに様々な情報を載せています。ぜひ参考にしてください。↓
https://minnanoeitaikuyou.com/column_category/noukotsu/
散骨・手元供養を選ぶ
その他の供養方法としては、散骨や手元供養があります。
墓じまいした遺骨を細かなパウダー状にして山や海などに散骨する方法や、一部の遺骨を小さな骨壷に移したりペンダントなどにして自宅で供養する方法です。
注意しなければいけないこととして、散骨はどこでも好きなところにできるわけではありません。散骨ができる場所は限られていますので、しっかりとした業者に依頼しましょう。
また墓じまいをして遺骨を散骨してしまうとお墓参りに行けなくなり、人によっては、どう供養をしていけばいいのか困惑してしまうこともあるようです。墓じまいして散骨などの方法をとる場合はその点も考慮するようにしましょう。
墓じまい後の納骨先を地域・供養方法などから比較できます
墓じまい後の供養先を探す先祖代々のお墓を墓じまいする8つの手順
1:家族・親族に相談して了解を得る
先祖代々のお墓を墓じまいすることを、自分一人だけで決めてしまうのは避けます。
兄弟など家族や親族の中には、先祖代々のお墓はしっかり守っていきたいと考えている方がいるかもしれません。
墓じまいをしてしまった後に「勝手に先祖代々守ってきたお墓をなくした」「今までのお墓がよかった」「墓じまいするなんて縁起が悪い」などと意見が出てトラブルにつながることもあります。
どうして墓じまいをしたいのか、費用の負担のことや墓じまいをした後はそこに眠っていた遺骨をどう供養していくのかといったことを説明して、了解を得ておきましょう。
2:墓地・寺院の管理者へ相談する
先祖代々のお墓があるお寺や霊園に、墓じまいしたいことを相談して了解を得ます。
まず第一にお寺にしっかりと感謝の意と、どうして墓じまいしたいのかを伝え、相談することです。
墓じまいをすでに決定したこととして一方的に伝えるのではなく、長年お世話になったお寺への感謝を伝えつつ、墓じまいを検討している理由を丁寧に説明し、まずは相談することが大切です。
離檀料が必要になる場合がありますが、金額や考え方は寺院によって異なります。これまでのご縁への感謝を伝えながら、事前に相談することが大切です。
3:行政手続き
現在のお墓がある市区町村で、改葬許可の申請を行います。
申請には、現在の墓地・納骨堂の管理者が作成する、遺骨が埋蔵・収蔵されていることを証明する書類などが必要です。
必要書類や申請方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
自治体によっては「受入証明書」が必要になることがあります。
4:石材店などの業者を選ぶ
墓石は非常に重い石でできています。それを解体撤去する作業は素人にはできません。墓石が倒れたりすると大怪我をしたり、周りのお墓を損傷してしまうことにもなりかねません。こういった墓じまいの実質的な作業は石材店などの専門業者にしてもらうようにしましょう。
霊園やお寺によっては決まった業者がいることもありますが、そうでない場合は2~3の業者から見積もりを取り、どういった墓じまいの内容でどのくらいの費用がかかるのかを確認しましょう。
5:お墓の閉眼供養〜遺骨の取り出し
お寺のお墓などでは、墓石を撤去する前に閉眼供養(魂抜き)を行うことがあります。必要かどうかは宗派や寺院によって異なるため、事前に確認しましょう。
これは私自身の寺院での経験に基づくもので、全国共通の慣習ではありませんが、実際に多くの方が墓じまいの際に閉眼供養を行っています。
法要後に遺骨を取り出すことになりますが、その作業はお墓の解体作業を依頼した石材店などの業者がしてくれることが多いです。
取り出した遺骨は、とりあえず自宅や納骨堂などに一時預けるなどして安置しておきます。
6:墓石を撤去して墓地を返還する
手順4で決めた業者にお墓の解体・撤去をしてもらい、更地にして管理者に返還します。墓地によっては墓地使用許可証などの返還手続きが必要になります。必要書類は墓地管理者や自治体に確認しましょう。
7:改葬先へ改葬許可証を提出する
墓じまい後、遺骨を樹木葬や納骨堂などへ改葬する場合は、改葬先の霊園や寺院に改葬許可証を提出します。
8:改葬先へ納骨する
納骨の際に開眼供養などの法要を行うことがあります。
その場合は、お寺の住職に新しいお墓の開眼供養(魂入れ)の法要をしてもらい、遺骨を納めます。
納骨作業についても、必要に応じて石材店などへ依頼します。
墓じまいから永代供養への改葬までの流れを詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。↓
https://minnanoeitaikuyou.com/column/5813
先祖代々のお墓を墓じまいする3つのメリット
①お墓の後継ぎを心配しなくて安心
少子化が進む現代、「先祖代々のお墓があっても自分の後にお墓を継ぐ人がいない」そう心配する方は少なくないでしょう。管理する人がいなくなると無縁墓となり、墓地管理者によって改葬・撤去される場合があります。
墓じまいして永代供養墓に移すなどしておけば、後継者がいなくても供養を続けてもらえるので安心です。
②お墓の管理が不要
田舎を離れて暮らしている方にとっては、お墓参りだけでなくお墓の掃除や草むしりなどの維持管理をすることも容易ではありません。お墓が比較的近所にあっても高齢になると体力的にも大変になってきます。
墓じまいをして永代供養墓や納骨堂に改葬すれば霊園や寺院がお墓の管理を行ってくれるので、そういった作業も心配がなくなります。
③維持費を抑えられる場合がある
永代供養墓には年間管理費が不要なプランもあり、従来のお墓と比べて将来の維持費を抑えられる場合があります。ただし、管理費などの有無は施設や契約内容によって異なるため、事前に確認しましょう。
先祖代々のお墓を墓じまいする4つのデメリット
①いつかは合祀される
個別に納骨する永代供養墓でも、一定期間が過ぎた後に合祀されるプランがあります。
合祀後は遺骨を個別に取り出せないことが一般的なため、契約前に個別供養の期間やその後の供養方法を確認しましょう。
②合祀の場合、個人の遺骨を取り出せない
先祖代々のお墓を墓じまいした後の改葬先として合祀のお墓を選ぶと、合祀をした後は他の方の遺骨と一緒になってしまうため遺骨を取り出すことはできません。
後になって「新しいお墓を建てたから、そこに先祖代々の遺骨も収めて供養をしたい」と思ってもできなくなってしまうので、墓じまいをして合祀にする場合は家族や親族と話し合いをするようにしましょう。
③改葬する費用がかかる
先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養などに改葬した場合、改葬後の費用は抑えることができますが、改葬そのものには費用がかかります。少ない金額ではないので、その点もしっかり考えましょう。
④トラブルになることがある
墓じまいのことで家族や親族、または先祖代々のお墓があったお寺と、考え方の違いや金銭的なことでトラブルになってしまうことがあります。
先祖代々のお墓を墓じまいしたいことを家族や親族に相談して了解を取っておいたり、お寺に対しても感謝の意を伝えて墓じまいの相談をすることで、これらのトラブルを防ぎやすくなります。
先祖代々のお墓の墓じまいにかかる費用の目安
墓じまいにかかる費用は、墓石の大きさや立地、改葬先などによって異なりますが、一般的には30万円〜100万円程度(「墓石の撤去費」「改葬先の費用」「お布施」などを合計した金額)になるケースが多く見られます。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 墓石の撤去費 | 墓石の大きさや立地で変わる |
| 閉眼供養のお布施 | 寺院によって異なる |
| 離檀料 | 必要な場合がある |
| 永代供養料 | 供養方法で大きく変わる |
| 行政手続き | 自治体によって異なる |
費用は墓地・寺院・石材店・改葬先によって大きく異なります。
実際の費用は複数の石材店や霊園から見積もりを取り、比較することをおすすめします。
墓じまいでは、一般に次のような費用が発生する場合があります。以下はあくまで目安です。
・墓石の解体・撤去費:墓石の広さによって異なりますが、1㎡あたり約10万〜15万円が目安です
・閉眼供養のお布施:3万円~5万円
・お寺に納める離檀料:必要な場合があり、寺院によって異なります。
・行政手続きなどにかかる費用:数千円
※上記はあくまで目安です。実際の費用は、お墓の大きさや立地、改葬先、寺院・霊園ごとの規定によって異なります。
墓じまいの費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。↓
https://minnanoeitaikuyou.com/column/7402/
墓じまい後に永代供養する場合の費用
墓じまいして遺骨を永代供養墓へ改葬する場合の費用は、合祀、樹木葬、納骨堂などのタイプによって変わってきます。
合祀のお墓で10万円から、個別の埋葬・納骨で一人用40万円から、納骨堂で一人用30万円からといったところが大体の相場になってきますが、これはあくまで目安であり、その霊園により、また契約する供養期間や個別スペースの大きさになどよって費用は大きく変わってきます。
また納骨の際に、納骨手数料や法要のお布施などが必要になる場合があります。金額は施設や寺院によって異なります。
永代供養の費用について、種類ごとの相場を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
https://minnanoeitaikuyou.com/eitaikuyo-price/
地域・供養方法・費用などから比較できます
墓じまい後の永代供養墓を探す
先祖代々のお墓の墓じまいに関するよくある質問
Q. 先祖代々のお墓は必ず墓じまいしなければいけませんか?
A. いいえ、必ず墓じまいをしなければならないわけではありません。
お墓を継ぐ方がいて適切に管理できるのであれば、そのまま維持することもできます。
一方で、後継者がいない、お墓が遠方にあって管理が難しいなどの場合は、墓じまいや永代供養への改葬を検討してもいいでしょう。
ご家族の状況によっては、永代供養などへ改葬することで、無理なく供養を続けられる場合もあります。
大切なのは、ご家族や親族とよく話し合い、それぞれの事情に合った方法を選ぶことです。
Q. 墓じまいにはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 墓じまいにかかる期間は、お墓の状況や手続きによって異なります。
親族との話し合い、改葬先の決定、行政手続き、石材店との日程調整など細かなことも必要になるため、余裕をもって準備を進めることをおすすめします。
Q. 離檀料は必ず支払わなければいけませんか?
A. 私自身は離檀料を請求していませんが、これまでのご縁へのお気持ちとして、お布施を自主的にお納めいただくこともあります。
離檀料が必要かどうかや、その金額は寺院によって異なります。
離檀料を求めない寺院もあれば、これまでのご縁へのお礼としてお布施を納めるケースもあります。まずは事情を率直に伝え、相談してみてください。
Q. 墓じまい後の遺骨はどうすればよいですか?
A. 墓じまいで取り出した遺骨は、永代供養墓や納骨堂などへ改葬するほか、散骨や手元供養など、今後の供養方法を決める必要があります。
それぞれ特徴や費用が異なるため、ご家族でよく相談して決めましょう。
Q. 墓じまいは誰に相談すればよいですか?
A. まずはご家族や親族に相談しましょう。その後にお墓がある寺院や霊園、石材店、改葬先となる寺院・霊園などへ相談しながら進めると安心です。
行政手続きについては、お墓がある市区町村の窓口へ確認するとスムーズです。
Q. 墓じまいに補助金はありますか?
A. 一部の自治体で独自の制度を設けている場合があります。ですが、墓じまいに対する補助金制度は全国共通ではなく、多くの地域では実施されていません。利用を検討する場合は、お墓がある自治体へ確認しましょう。
墓じまいの補助金制度について詳しくはこちら↓
https://minnanoeitaikuyou.com/column/4937/
先祖代々のお墓を墓じまいする前に家族で話し合いましょう
住職としてご相談を受けて感じるのは、墓じまいそのものよりも「親族へどう話すか」で悩まれる方が非常に多いということです。早めに話し合いを始めることで、トラブルを防ぎやすくなります。
これまでのお墓は「家」のものとして、その家の家長となる人が継いで、先祖代々伝えていくものという意識が高くありました。ですが、時代の変化によりこういった考えも段々と薄れつつあります。
先祖代々のお墓を守り続けることは大切ですが、遠方に暮らしている、後継者がいない、高齢になって管理が難しいなど、それぞれに事情があります。
墓じまいするというのは、決して後ろめたいことではなく、ご先祖様に対してきちんと供養を続けていきたいと考えるからこそのことです。
墓じまいを考え始めたら、まずは改葬先となる永代供養墓を探すことが大切です。
地域や供養方法、費用を比較しながら、ご自身やご家族に合ったお墓を見つけましょう。
墓じまい後の納骨先を地域・供養方法・費用などから比較できます
墓じまい後の供養先を探す


