お墓のお役立ちコラム

納骨堂とお墓の違いとは?後悔しない選択のために理解を深めよう

納骨堂とお墓の違いには、個別に供養する期間やお墓の管理をする方法など、いくつかの違いがあります。

こちらの記事をご覧いただいている方の中には、納骨堂とお墓の違いが分からずに、どちらを選択すれば良いのか頭を抱えられている方もいるでしょう。

本記事では、納骨堂とお墓の違いについて徹底解説していますので、納骨堂とお墓の違いについてどうやって調べたら良いのか悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

納骨堂とお墓の定義の違い

納骨堂とお墓の定義は、それぞれ法律により定められています。

こちらでは、それぞれの定義を解説していきますので、納骨堂とお墓の違いをしっかりと確認していきましょう。

納骨堂の定義

納骨堂は「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう」と法律により定義されています。※1

簡単にいうと、納骨堂はひとつの建物の中に多くの「遺骨を納めておく場所」のことで、納骨堂を購入するときには永代供養が一緒に付いているのが近年では一般的です。

お墓の定義

一般的な墓石を建てるお墓は、墳墓(ふんぼ)に分類され「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう」と法律により定義されています。※1

お墓は納骨堂とは違い、永代使用権を得た個別の区画に墓石を建て、墓石の下にある「カロート」といわれるスペースに遺骨を収納します。

お墓の承継者がいることが前提で、永代供養の付いている納骨堂とは違い、承継者が不在となりお墓の管理費などを数年にわたり滞納してしまうと、強制撤去されてしまうことがあります。

子どもが遠方に住んでいる・生涯独身の場合などは、納骨堂を購入するケースと違い承継の問題が起きる可能性がありますので、購入する際は注意しましょう。

(※1参照厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年5月31日法律第48号)

納骨堂とお墓の7つの違い

納骨堂とお墓の違いは以下の7つです。

  1. 個別供養期間の違い
  2. 承継者の必要・不要の違い
  3. 管理方法の違い
  4. 納骨する場所の違い
  5. お参りする方法の違い
  6. アクセスの違い
  7. 費用相場の違い

 

それぞれ、納骨堂とお墓の違いはどんなことなのかを解説していきます。

1. 個別供養期間の違い

納骨堂とお墓では、遺骨を個別に供養できる期間が以下のように違います。

  • 納骨堂は個別の供養期間が有限
  • お墓は承継者がいる限り無限

 

納骨堂を購入する場合は、個別に供養する期間をあらかじめ決めて契約する場合がほとんど。

中には、はじめから他の方の遺骨と一緒に埋葬する「合祀」(ごうし)を選ぶ方もいますが、13回忌や33回忌までを個別供養して、そのあとは合祀するパターンが一般的です。

いつまで個別供養ができるのかは購入する納骨堂によって違いますので、トラブルを避けるためにもしっかりと確認しておきましょう。

なお、合祀されたあとは、個別スペースがなくなりますので、共用のスペースでお参りすることになります。

一方、お墓の場合は納骨堂と違い、改葬や墓じまいをしない限りは永代使用することができますので、いつまでも個別に故人と向き合ってお参りができます。

2. 承継者の要・不要の違い

納骨堂とお墓には、お墓の承継者が「必要」か「不要」かの違いがあります。

  • 納骨堂は承継者不要
  • お墓は承継者必要

 

近年、お墓を購入する場合の条件で圧倒的に多いのは「承継者不要のお墓であること」です。

「子どもに負担を掛けたくない」などの理由で、以前とは違い、承継者不要のお墓を購入する方は年々増加傾向にあります。

納骨堂では、購入するプランに永代供養が付いているものが多く、承継者はいなくても最後まで責任を持って供養してもらえますので安心です。

比べて、お墓の場合は、基本的に個別スペースは承継者に代々受け継いで管理していく必要があります。

納骨堂とは違い永代使用権はあっても永代供養は付いていませんので、承継者がいなくなってしまうと、誰にも供養されない無縁仏になってしまう可能性も。

特に近年では、承継者がおらず無縁墳墓が増加していることが問題となっていますので、お墓を購入するときには「今後も代々承継してもらえるのか」「承継できなくなったときにはどうするのか」の2点についてもしっかり考えておく必要があります。

(参照:総務省「墓地行政に関する調査」

3. 管理方法の違い

納骨堂とお墓には、施設の管理方法にも違いがあります。

  • 納骨堂は管理費を支払えば掃除等の管理不要
  • お墓は個別区画の掃除などが必要

 

納骨堂は、管理費を支払っていれば、基本的にお参りに来た方が掃除などをする必要はなく手間がかかりません。

納骨堂によっては、そもそも管理費がかからない場合もありますので、契約時に確認してみましょう。

ただし、檀家になる必要がある納骨堂については、掃除の協力をお願いされる可能性も。

同じ納骨堂であっても、公営や民営、寺院など、どこが運営しているかによって、管理方法が違います。

納骨堂を購入する前には、購入後に行わなければいけない項目について、しっかり調べておくことをおすすめします。

納骨堂の詳しい種類や費用については「納骨堂の費用相場はどれぐらい?安くするポイントを5つ解説」を参考にご覧ください。

お墓も納骨堂と同じように管理費を払いますが、お墓の管理費は水汲み場や施設の樹木管理など、お墓全体の維持管理のために利用されます。

そのため、納骨堂と違い、自分のお墓のスペースについては自分で雑草を抜いたり、落ち葉や鳥のフンなども掃除をしたりすることになるでしょう。

お墓は屋外にあり、雨や風にさらされますので、定期的なお墓の掃除が必要になります。

4. 納骨する場所の違い

納骨堂とお墓の、遺骨を納骨する場所の大きな違いは「屋内」か「屋外」です。

  • 納骨堂は屋内
  • お墓は屋外

納骨堂は基本的に屋内に設置されていますので、屋外でお参りするときとは違い、雨や雪などの悪天候でも施設内にさえ入ればゆったりとお参りすることができます。

さらに、施設内は空調もしっかりと管理されていますので、冬の寒い日でも「寒いから急いでお参りして帰ろう!」と焦ることなく、故人と向き合うことができるでしょう。

一方、お墓は屋外にありますので、納骨堂とは違い、悪天候の日にはお参りを断念せざるを得ないこともあります。

また、お墓に食べ物のお供えものをしてしまうと、カラスなどが食べ物を狙って荒らされてしまうこともありますので、注意が必要です。

5. お参りする方法の違い

納骨堂とお墓では、お参りの方法にも違いがあります。

  • 納骨堂は火気厳禁で線香不可、生花も不可の施設も
  • お墓は線香OK、生花もOK

 

納骨堂は、室内の限られたスペースに多くの方の遺骨が納骨されていますので、他の遺族とお参りする時間が重なってしまうと、焦ってお参りをしなければならない場合があります。

例えば、温泉施設のコインロッカーを利用するときに、使用する場所が混んでいると「急いで場所を開けないと!」と思ってしまうのと同じです。

また、室内のため、火気厳禁で線香やロウソクの利用ができなかったり、においのする食べ物や花粉の付く生花などを禁止したりする施設も多くみられます。

納骨堂にお参りするときには、屋外施設と違い禁止事項が多いので、利用にあたっての注意事項などをしっかり確認しておきましょう。

その点、お墓であれば納骨堂と違い、お盆などの混雑する時期であっても、個別のスペースは誰も入ってきません。

丁寧に掃除等をしてあげたりゆっくりと故人に思いを馳せたりと、心ゆくまでお参りすることができます。

もちろん、屋内にある納骨堂とは違い、食べ物やアルコール、生花のお供えをしても問題ありませんし、線香やロウソクの使用も可能です。

6. アクセスの違い

納骨堂とお墓には、アクセスのしやすさによる違いもあります。

  • 納骨堂は駅近、利用できる路線が多い
  • お墓は遠くて歩きにくい

 

納骨堂は、駅から歩いて行ける距離だったり、施設に行くための交通機関や利用できる路線が豊富にあったりして、アクセスしやすいことが特徴です。

また、納骨堂は室内のため、施設が開いている時間であれば基本的にはいつでもお参り可能です。

時代のニーズに合わせて、24時間いつでもお参りできる納骨堂もあるようなので、忙しい方でもお参りしやすいでしょう。

一方、お墓を建てるためには、納骨堂と違い、広い敷地や周りの住民の理解が必要になります。

そのため、アクセスの良い場所にはなかなか墓地や霊園を作りづらく、車でしか行けない、山道などを歩かなければ行けないという場所になりがちです。

そのため、納骨堂と比べるとお参りしたくても簡単にできずに、頻繁に訪れることが負担になってしまうという違いもあります。

お墓も、開園している時間帯であればいつでもお参りすることは可能ですが、到着が遅くなると照明が暗くて歩くのが危険な場合などがあります。

お墓でお参りをする場合は、できるだけ日中にお参りに訪れる方が良いでしょう。

7. 費用相場の違い

納骨堂とお墓は、費用相場にも違いがあります。

  • 納骨堂はお墓に比べて安い
  • お墓は墓石代などで高額になりがち

 

納骨堂には、ロッカー型や仏壇型、自動搬送型位牌型などいくつかの種類があります。

種類によって違いはありますが、永代供養費込みで約10万〜100万円くらいと管理費が年間1万円くらいの相場となっています。

お墓は「お墓を建てる費用は何にいくらかかる?費用内訳と相場を徹底解説」でも解説していますが、基本的に永代使用料+墓石代+管理費がかかり、150万以上の費用となります。

納骨堂とお墓では、費用相場にも大きな違いがあることが分かります。

納骨堂のメリットとデメリット

納骨堂とお墓には、それぞれどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

納骨堂とお墓ではメリット・デメリットにどんな違いがあるのかを、ぜひ確認してみてくださいね。

納骨堂のメリット

納骨堂のメリットには以下の5つがあります。

  • お墓を建てるよりも費用が安い
  • 悪天候でも参拝しやすい
  • バリアフリーで移動しやすい
  • お墓の管理が簡単
  • 永代供養ができる

 

前章でも解説しましたが、納骨堂を購入する費用はお墓を建てるときと違い、費用も安く経済的です。

基本的には、契約時に決めた回忌を過ぎると個別供養を終了し合祀されますが、遺族の希望によっては承継可能な納骨堂もあります。

また、納骨堂が建っている場所はお墓と違い、交通の便が良くアクセスしやすいところにあることがほとんどです。

急にお参りしたいと思ったときでも気軽に行動しやすく、すぐに故人に会いに行けるメリットがあります。

施設内はバリアフリーなところが多く、足が悪い方や高齢の方でもエレベーターや車いすを利用してスムーズに移動することができるでしょう。

納骨堂のデメリット

納骨堂のデメリットには、以下の3つがあります。

  • 個別供養期間が終わると合祀される
  • 混雑してゆっくりお参りできない
  • 納骨したい人数が入らない場合がある

 

納骨堂は、一定期間が過ぎると、他の方の遺骨と一緒にされますが、遺族の中には「他の方と遺骨を一緒にする」行為を嫌がる場合があります。

本人は良いと思っていても遺族の気持ちが納得行かないこともあるので、納骨堂を購入するときには家族でしっかりと相談したほうが良いでしょう。

また、納骨堂を購入する際は、お墓と違い、1人用や夫婦用、家族用の中から、どの納骨堂にするのかを決める必要があります。

納骨堂を購入したときは2人用で十分だと思っていたのに、世帯構成が変わってもっと遺骨を納骨したくなった場合は対応できないことも。

そのため、結局、全員の遺骨を納められるお墓を建てることになったというケースもあります。

 

お墓のメリットとデメリット

近年、お墓を購入する方は納骨堂と違い、減少傾向にあることが分かっています。

理由は、承継不要のお墓を選ぶ方の増加やお墓のために使う金額の減少、またアクセスの悪さによるところが大半です。(参照:独立行政法人国民生活センター「特集 現代の墓事情に関する知識とトラブル」特集1 近年の墓事情とその背景‐墓の問題より

とはいえ、お墓にもいくつものメリットがありますので、デメリットと合わせて解説していきます。

お墓のメリット

お墓のメリットには以下3つがあります。

  • 混雑を気にせずお参りできる
  • 故人を近くに感じることができる
  • 納骨スペースが広く、遺骨を納めやすい

 

お墓は納骨堂と違い、施設内の混雑や順番を気にしなくて良いので、ゆっくりとお参りができます。

また、納骨堂よりも、お参りするルールが緩やかなので、故人が生前好きだったお酒などを供えたり、線香を焚いたりと、遺族が故人にやってあげたいと思うことを、ある程度制限なくできることもメリットの一つです。

さらに、お墓は納骨堂と違い、遺骨を納める空間が広く、骨壺に入れたままでも6人程度であれば納骨ができます。

もしも、納骨するスペースがなくなって遺骨をまとめる場合でも、家族以外の遺骨が交じることはありませんので、不快に思うことも少ないでしょう。

お墓のデメリット

お墓のデメリットは以下の3つです。

  • 天候が悪いとお参りしづらいい
  • 道が歩きにくく高齢になると大変
  • お墓の掃除が大変

お墓は屋外に建てられているので、雨が降れば傘をさしてお参りすることになりますし、強風だとお供えしたお花などが風ですぐに散ってしまうこともあります。

また、納骨堂と違い、お墓の場合はお墓にたどり着くまでに坂道をのぼったり、でこぼこ道を歩いたりすることが多いのがデメリットです。

高齢者の方がお参りする場合は、転倒したり、たどり着くまでにとても疲れてしまったりすることが考えられます。

そのため、行きたくてもひとりではお参りに行けずに、結果、お墓に行く頻度も減ってしまうことになるかもしれません。

納骨堂の購入が向いているのは・・・

納骨堂の購入が向いているのは、以下のとおりです。

  • 子どもが遠方に住んでいる
  • 他に親族がいない
  • 管理するのが面倒
  • アクセスのいい場所に納骨したい
  • お墓にあまりお金を掛けたくない

 

子どもが遠方にいると、定期的なお墓の維持管理をお願いすることは難しいものです。

そのため、購入者の中には、子どもたちに手間をかけさせないために、納骨堂を選択したというケースが多くあります。

また、お墓を承継する親族がいない場合でも、永代供養付きの納骨堂を購入すれば無縁仏になりませんので、安心です。

「今はお墓でも通えるけれど、将来的には難しそう」と不安に思う方にも、高齢になってもアクセスしやすい納骨堂はおすすめだといえます。

お墓の購入が向いているのは・・・

お墓の購入が向いているタイプは以下の通りです。

  • お墓の跡継ぎがいる
  • 家族だけのお墓にしたい
  • 親族に納骨堂などを反対されている

 

納骨堂はお墓と違い、個別供養が終了すると他人と遺骨を一緒にして供養しますが、この供養方法を良いと思わない方もいます。

また、購入する本人は納骨堂が良いと思っても、子どもや親族に反対されることも。

こういった場合は、納骨堂よりもお墓を購入した方がいいかもしれません。

さらに、お墓の管理をしてくれる承継者がいる場合も、お墓を購入しているケースが多いようです。

まとめ

納骨堂とお墓では、お参りする方法や費用相場など、いくつかの違いがあります。

アクセスしやすい納骨堂にするのか、広々とした空間でお参りできるお墓にするのか、どちらを選択したとしても間違いではありません。

ただし、自分だけの希望で納骨堂やお墓を勝手に決めてしまうと、残される家族などに反対される可能性もあります。

「もっとしっかりお参りできるようにして欲しかった」「両親と同じ墓に入ろうと思っていた」「代々お墓を承継していくことは難しい」など、話し合いをしないと伝わらない思いもあるのです。

納骨堂とお墓の違いをしっかりと理解し分かり合って、一番納得のいくように決められると良いですね。



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