お墓のお役立ちコラム

お墓の引っ越し(改葬)とは?費用・手続き・墓石の移設まで住職が解説

お墓の引っ越し(改葬)を考える家族のイメージ

「お墓を引っ越したいけれど、何から始めればいいの?」

「墓じまいをすると、お寺から高額な離檀料を請求されることがある?」

「今ある墓石を、そのまま新しい墓地へ持っていくことはできる?」

お墓の引っ越しを考え始めると、こうした疑問や不安が次々に出てくるのではないでしょうか。

実は、ひとことで「お墓の引っ越し」といっても、遺骨を移すこと、今のお墓を撤去すること、墓石そのものを移設することは、それぞれ別の話です。

特に混同されやすいのが、「改葬」と「墓じまい」です。

法律上の改葬とは、埋葬した遺体や、お墓・納骨堂などに納められている遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すことをいいます。改葬を行うには、市区町村長の許可が必要です。

一方、墓じまいは、現在のお墓から遺骨を取り出し、墓石などを撤去して墓所を返還することを指す一般的な呼び方です。

さらに、現在使っている墓石を新しい墓地へ運ぶ「墓石の移設」という方法もあります。ただし、すべての墓地で古い墓石を受け入れてもらえるとは限りません。

つまり、「お墓を引っ越したい」と思ったときには、

  • 遺骨をどこへ移すのか

  • 今のお墓をどうするのか

  • 墓石を移すのか、撤去するのか

  • 現在のお寺や墓地へどう相談するのか

を分けて考える必要があります。

私は住職として、お墓や供養についてさまざまな相談を受けてきました。

その中で感じるのは、改葬そのものの手続き以上に、「お寺にどう話せばいいのかわからない」「親族に反対されないだろうか」と、人との関係に悩まれている方が少なくないということです。

しかし、お墓を引っ越す事情は家庭によってさまざまです。

「遠方に住んでいてお墓参りが難しい」「高齢になって管理できなくなった」「子どもに負担を残したくない」など、まず事情を率直に話していただければ、寺院側とも今後の供養について相談しながら進めやすくなります。

必要以上に「お寺と揉めるのではないか」と怖がる必要はありません。

ただし、改葬には行政上の手続きがあり、墓地や寺院との確認、新しい納骨先の決定なども必要です。墓石を移設する場合には、さらに確認しておかなければならないことがあります。

この記事では、お墓の引っ越し(改葬)の意味から、必要な手続き、費用、墓石の移設、お寺への相談方法、新しい納骨先の選び方まで、住職としての経験も交えながらわかりやすく解説します。

「お墓を引っ越したいけれど、どこから手をつければいいかわからない」という方は、まず全体の流れから確認していきましょう。

目次

お墓の引っ越しとは?「改葬」「墓じまい」「墓石の移設」の違い

改葬・墓じまい・墓石の移設の違いを示す図解

「お墓の引っ越し」という言葉は日常的によく使われますが、法律上の正式な用語ではありません。

一般に「お墓を引っ越す」といった場合には、遺骨を別のお墓へ移す「改葬」だけでなく、現在のお墓を撤去する「墓じまい」や、墓石そのものを別の墓地へ運ぶ「墓石の移設」まで含めて話されていることがあります。

この3つは同じことではありません。

言葉 意味 主な手続き・確認
改葬 現在のお墓や納骨堂などにある遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すこと 市区町村長の改葬許可が必要
墓じまい 遺骨を取り出し、墓石などを撤去して現在の墓所を返還すること 墓地・寺院への確認、墓石撤去など
墓石の移設 現在使っている墓石を別の墓地へ運び、再び使用すること 新旧墓地への確認、石材店への相談など

改葬とは「遺骨を移すこと」

法律上の「改葬」とは、すでに埋葬されている遺体や、お墓・納骨堂に納められている遺骨を、別のお墓や納骨堂へ移すことをいいます。

つまり、改葬で移す対象は墓石ではなく、遺骨です。

墓地、埋葬等に関する法律では、改葬を行う場合、市町村長の許可を受けなければならないと定められています。

そのため、

「実家のお墓から遺骨を取り出して、自宅近くのお墓へ移す」

「墓じまいをして、遺骨を永代供養墓や納骨堂へ移す」

といったケースは、基本的に改葬にあたります。

墓じまいとは「今あるお墓をしまうこと」

一方、「墓じまい」は法律で定義された言葉ではなく、一般的に使われている呼び方です。

多くの場合、現在のお墓から遺骨を取り出し、墓石などを撤去して墓所を更地に戻し、墓地の管理者へ返還する一連の流れを指します。

ここで注意したいのは、墓じまいをすることと、遺骨の行き先を決めることは別の問題だということです。

お墓を撤去しても、遺骨そのものがなくなるわけではありません。

一般墓や永代供養墓、樹木葬、納骨堂など、遺骨をどこへ移すのかをあらかじめ考えておく必要があります。

そのため実際の墓じまいでは、遺骨を別の墓所へ移すための「改葬」が伴うことが多くあります。

墓石そのものを引っ越す「移設」という方法もある

「先祖代々使ってきた墓石なので、できれば処分せずに新しい墓地でも使いたい」

そう考える方もいるでしょう。

墓石は、条件が整えば別の墓地へ移設できることがあります。

ただし、どの墓地でも現在の墓石をそのまま持ち込めるわけではありません。

新しい墓地の使用規則や墓石の大きさ・形状、区画の寸法、墓石の状態などによって、移設できないこともあります。

また、墓石を移すことができても、中に納められている遺骨も一緒に移すのであれば、遺骨については改葬の手続きが必要です。

つまり、

「遺骨を移す」=改葬
「今のお墓をなくす」=墓じまい
「墓石を運ぶ」=墓石の移設

と分けて考えると、お墓の引っ越しが理解しやすくなります。

「お墓を引っ越したい」と思ったら、まずは何を移したいのか、現在のお墓をどうしたいのかを整理することから始めましょう。

お墓を引っ越す主な理由

お墓を引っ越す主な理由を示す図解

お墓を引っ越す理由は、ご家庭によってさまざまです。

住職としてお墓の相談を受けていると、単に「今のお墓が嫌だから」というよりも、家族の暮らし方が変わり、これまでと同じようにお墓を守り続けることが難しくなったという相談をよく耳にします。

代表的なのは、次のようなケースです。

お墓が遠く、お参りや管理が難しい

進学や就職、結婚などをきっかけに、実家から離れた地域で暮らすようになる方は珍しくありません。

お墓まで車や電車で何時間もかかるようになると、お参りだけでなく、掃除や草取りなどの日常的な管理も負担になります。

そのため、現在の生活圏に近い墓地や納骨先へ遺骨を移したいと考える方がいます。

高齢になり、お墓参りが負担になった

若い頃には問題なく通えていたお墓でも、年齢を重ねることで移動そのものが難しくなることがあります。

山の斜面にある墓地や、階段の多い墓地などでは、体力的な負担を感じることもあるでしょう。

「今はまだ行けるけれど、数年後はどうだろう」と考え、元気なうちにお墓の引っ越しを検討する方もいます。

子どもや家族にお墓の負担を残したくない

「自分たちはお墓を守れるけれど、子どもは遠方に住んでいる」

「子どもに墓石の管理や費用の負担を残したくない」

こうした理由から、お墓の今後を考える方もいます。

特に、お墓の承継を家族だけに任せるのではなく、寺院や霊園が供養や管理を行う永代供養を選択肢として検討することもできます。

お墓を継ぐ人がいない

子どもがいない場合や、親族の中にお墓を引き継ぐ人がいない場合には、将来お墓を誰が管理するのかという問題が出てきます。

ただし、跡継ぎがいないからといって、必ずすぐに墓じまいをしなければならないわけではありません。

まず現在の墓地や寺院に相談し、そのうえで永代供養なども含めて今後の供養方法を検討するとよいでしょう。

家族が暮らす場所の近くへお墓を移したい

「先祖のお墓は故郷にあるけれど、今は家族全員が別の地域で暮らしている」というケースもあります。

この場合、遠方のお墓をそのまま維持するよりも、家族が訪れやすい場所へ遺骨を移すことで、お参りしやすくなることがあります。

お墓は、ただ残しておけばよいというものではありません。

私は住職として、無理をして遠くのお墓を守り続けることだけが、ご先祖を大切にする方法ではないと考えています。

家族がお参りしやすい場所へ移したり、管理を任せられる供養方法へ変更したりすることも、そのご家庭に合った供養の形のひとつです。

大切なのは、「昔からこうしてきたから」という理由だけで決めるのではなく、これから誰が、どのように供養していくのかを家族で考えることです。

永代供養墓・樹木葬・納骨堂などから比較できます

お墓の引っ越し先を探す

お墓を引っ越す方針が決まったら、次に確認したいのが実際の手続きです。

お墓を引っ越すには?改葬の流れを7ステップで解説

お墓の引っ越し(改葬)の7ステップを示す図解

お墓の引っ越しは、墓石を撤去して遺骨を持っていけば終わり、というものではありません。

遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す場合には「改葬」にあたるため、市区町村長の許可が必要です。

ただし、手続きだけを先に進めるのではなく、家族との話し合い、現在のお寺や墓地への相談、新しい納骨先の決定もあわせて進めることが大切です。

大まかな流れは、次の7ステップです。

  1. 家族・親族でお墓の引っ越しについて話し合う

  2. 新しい納骨先を決める

  3. 現在のお寺・墓地へ相談する

  4. 改葬許可の申請をする

  5. 遺骨を取り出す

  6. 必要に応じて墓石を撤去し、墓所を返還する

  7. 新しいお墓・納骨堂などへ遺骨を納める

順番に見ていきましょう。

1.家族・親族でお墓の引っ越しについて話し合う

まずは、お墓に関係する家族や親族で話し合います。

特に先祖代々のお墓の場合、自分では「管理が大変だから引っ越した方がよい」と思っていても、親族の中には「今のお墓を残してほしい」と考える人がいるかもしれません。

改葬後、とくに合祀される供養方法を選んだ場合には、あとから遺骨を元の状態に戻せないこともあります。

そのため、

  • なぜ引っ越しを考えているのか

  • 現在のお墓をどうするのか

  • 遺骨をどこへ移すのか

  • 今後は誰が供養していくのか

といったことを、できるだけ事前に共有しておきましょう。

2.新しい納骨先を決める

次に、遺骨をどこへ移すのかを決めます。

引っ越し先は、一般墓だけではありません。

永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、現在はさまざまな供養方法があります。

また、「今まで使っていた墓石を持っていきたい」という場合には、新しい墓地が既存の墓石を受け入れているかも事前に確認しておく必要があります。

改葬許可の申請では改葬先を記載するため、現在のお墓を撤去してから行き先を考えるのではなく、先に新しい納骨先を決めておくのが基本です。

3.現在のお寺・墓地へ相談する

新しい納骨先を検討すると同時に、現在のお墓を管理している寺院や霊園にも相談します。

寺院墓地の場合、

「墓じまいをすると伝えたら、怒られるのではないか」

「高額な離檀料を請求されるのではないか」

と心配する方もいるでしょう。

しかし、最初から身構える必要はありません。

住職の立場からすると、「もう決めたので墓じまいします」と結果だけを伝えられるより、「遠くてお参りが難しくなった」「子どもに負担を残したくない」など、事情も含めて相談していただいた方が、今後の供養について話し合いやすくなります。

お墓の引っ越しにはそれぞれ事情があります。

まずは現在のお寺や墓地へ、今後について相談するところから始めてみてください。

4.改葬許可の申請をする

遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す場合には、原則として改葬許可が必要です。

申請先は、現在遺骨が納められているお墓や納骨堂の所在地を管轄する市区町村です。

申請書の様式や必要書類は自治体によって異なるため、詳しい手続きについては、次の「改葬許可の手続きと必要書類」で解説します。

5.遺骨を取り出す

改葬許可証が交付されたら、現在のお墓から遺骨を取り出します。

実際の取り出し方法は墓地の構造によって異なるため、墓地管理者や石材店などへ確認しましょう。

寺院や宗派によっては、お墓を撤去したり遺骨を取り出したりする際に、閉眼供養などと呼ばれる法要を行うことがあります。

ただし、法要の名称や考え方、必要性は宗派や寺院によって異なります。

「墓じまいをするなら必ずこの法要をしなければならない」と一律に考えるのではなく、現在のお寺へ確認してください。

6.必要に応じて墓石を撤去し、墓所を返還する

現在のお墓を今後使用しない場合には、墓石などを撤去して墓所を返還します。

墓地では、使用を終える際に墓石などを撤去し、区画を原状に戻して返還することが定められている場合があります。

ただし、具体的な返還方法や工事の条件は墓地によって異なります。

指定石材店の有無なども含め、工事を依頼する前に墓地管理者へ確認しましょう。

一方、墓石そのものを新しい墓地へ移設する場合は、撤去して処分するのではなく、石材店と移設方法を打ち合わせます。

7.新しいお墓・納骨堂などへ遺骨を納める

最後に、新しいお墓や納骨堂などへ遺骨を納めます。

改葬した遺骨を受け入れる墓地・納骨堂の管理者には、改葬許可証を提出します。

納骨の際に法要を行うかどうかについても、新しい寺院や墓地へ事前に確認しておくと安心です。

これで、お墓の引っ越しは完了です。

ただし、実際に多くの方が迷うのは、この7ステップの中でも「改葬許可をどう取るのか」「どんな書類が必要なのか」という部分ではないでしょうか。

次に、改葬許可の手続きと必要書類について、もう少し詳しく見ていきます。

改葬許可の手続きと必要書類

お墓から遺骨を取り出し、別のお墓や納骨堂へ移す場合には、原則として「改葬許可証」が必要です。

改葬許可証は、現在遺骨が納められている場所を管轄する市区町村へ申請し、交付を受けます。

「新しいお墓がある市区町村」へ申請するのではないので、間違えないようにしましょう。

改葬許可は現在のお墓がある市区町村へ申請する

「墓地、埋葬等に関する法律」では、改葬を行う場合には市町村長の許可を受けなければならないと定められています。

さらに、改葬の許可を行うのは、現在、遺骨などが存在している場所の市町村長とされています。

たとえば、

「埼玉県にあるお墓から東京都のお墓へ遺骨を移す」

という場合には、基本的に現在のお墓がある埼玉県側の市区町村へ改葬許可を申請します。

改葬許可申請書には何を書く?

厚生労働省令では、改葬許可の申請書に記載する事項が定められています。

主な内容は、次のとおりです。

  • 故人の氏名、本籍、住所など

  • 死亡年月日

  • 埋葬または火葬された場所・年月日

  • 改葬する理由

  • 新しい改葬先

  • 申請者の氏名・住所や故人との続柄など

実際の申請書の様式は自治体によって異なります。

まずは現在のお墓がある市区町村のホームページなどで、「改葬許可申請書」を確認するとよいでしょう。

全国共通で確認したい書類と、自治体によって異なる書類

改葬手続きで少しわかりにくいのが、必要書類です。

インターネットでは、

「改葬には受入証明書が必要」

「埋葬証明書を取得する」

など、さまざまな説明を見かけます。

しかし、すべての自治体でまったく同じ名称・同じ書類が必要になるわけではありません。

厚生労働省令で、改葬許可申請書への添付が定められている主な書類は次のように整理できます。

書類・確認事項 内容
現在の墓地・納骨堂管理者による証明 遺体や遺骨が現在その墓地・納骨堂に埋葬・埋蔵・収蔵されていることを証明する書面
墓地使用者等の承諾書 申請者が墓地使用者等ではない場合に必要
自治体が必要とするその他の書類 市区町村によって追加書類を求められることがある

現在の墓地管理者による証明については、自治体によって独立した「埋蔵証明書」などを用意する場合もあれば、改葬許可申請書の中に墓地管理者が証明する欄を設けている場合もあります。

名称だけで判断せず、申請する自治体の様式を確認してください。

「受入証明書」は必ず必要?

ここは、改葬について調べている方が迷いやすいところです。

新しい墓地や納骨堂から発行してもらう「受入証明書」「使用許可証」などの提出を求める自治体もあります。

しかし、受入証明書そのものが、国の法律・省令で全国一律の必須添付書類として定められているわけではありません。

厚生労働省令では「その他市町村長が特に必要と認める書類」を求めることができるため、必要書類は自治体によって異なります。

そのため、

「ネットに書いてあった書類を全部揃えれば大丈夫」

と考えるより、現在のお墓がある市区町村に確認するのが最も確実です。

これは小さな違いに見えますが、実際の手続きを進めるうえではとても大切です。

申請者とお墓の使用者が違う場合は注意する

もうひとつ確認しておきたいのが、誰が改葬を申請するのかです。

厚生労働省令では、墓地使用者等ではない人が改葬を申請する場合、原則として墓地使用者等の承諾書を添付することが定められています。

たとえば、親族だからという理由だけで、誰でも自由に遺骨を移せるわけではありません。

先祖代々のお墓では、

「誰が現在の墓地使用者になっているかわからない」

「名義が亡くなった親のままになっている」

といったこともあります。

このような場合は、勝手に手続きを進めず、まず墓地管理者や申請先の自治体へ確認しましょう。

わからないことがあれば、最初に自治体へ確認しておく

改葬というと難しい手続きに感じるかもしれません。

しかし、基本となるのは、

「現在のお墓がある自治体に確認する」

ということです。

自治体ごとに申請書の形式や必要書類が違う以上、インターネット上の情報だけで判断するよりも、実際に申請する市区町村の案内を確認した方が確実です。

特に、古いお墓で故人の情報がわからない、墓地使用者が誰なのかわからない、必要な証明を取得できないといった事情がある場合には、自己判断せず自治体へ相談してください。

改葬許可の準備ができたら、次に気になるのが「お墓の引っ越しには、全部でいくらかかるのか」ではないでしょうか。

次に、お墓の引っ越しで発生する費用を項目ごとに見ていきます。

お墓の引っ越しにはいくらかかる?主な費用を項目別に解説

「お墓を引っ越すには、全部でいくらかかるの?」

これは、改葬を考える方にとって特に気になることのひとつでしょう。

ただし、お墓の引っ越し費用は、「平均○万円」とひとつの金額で示すのが難しいものです。

なぜなら、

  • 現在のお墓を撤去するのか

  • 墓石を新しい墓地へ移設するのか

  • 新しく墓石を建てるのか

  • 永代供養墓や納骨堂へ移すのか

  • 墓地の広さや立地はどうか

などによって、必要な費用が大きく変わるためです。

まずは、どのような費用が発生する可能性があるのかを整理してみましょう。

費用項目 どのような費用?
墓石の撤去・墓所の原状回復 現在の墓石などを撤去し、墓所を返還するための工事費
遺骨の取り出し 石材店などに遺骨の取り出しを依頼する場合の費用
法要のお布施 墓石の撤去や遺骨の取り出しに伴って法要を行う場合
改葬手続き 証明書の発行などに費用がかかる場合がある
墓石の移設 墓石の解体・運搬・再施工などにかかる費用
新しい納骨先 一般墓、永代供養墓、納骨堂、樹木葬などの契約費用
新しい墓石 移転先に新しい墓石を建立する場合の費用

現在のお墓を撤去する費用

墓じまいをして現在の墓所を返還する場合には、墓石などを撤去し、墓地の規則に従って区画を原状に戻すための工事費がかかります。

この費用は、単純に墓地の広さだけで決まるものではありません。

たとえば、

  • 墓石や外柵の大きさ

  • 基礎部分の構造

  • 重機が墓地まで入れるか

  • 墓地までの通路や階段

  • 石材やコンクリートなどの廃材量

  • 運搬・処分にかかる費用

などによって変わります。

そのため、インターネットで見た「1㎡あたり○万円」という数字だけで予算を決めるのではなく、実際のお墓を確認してもらったうえで見積もりを取ることが大切です。

また、墓地によっては工事を行える石材店が指定されていることがあります。先に業者を決めるのではなく、墓地管理者にも確認しましょう。

墓石をそのまま引っ越す場合にも費用がかかる

現在の墓石を新しい墓地でも使う場合には、

墓石を解体する → 運搬する → 新しい墓地で再び施工する

という作業が必要になります。

さらに、新しい墓所で基礎工事が必要になることもあります。

そのため、

「墓石を買わなくて済むから、移設した方が必ず安い」

とは限りません。

墓石の大きさや重量、移動距離、新しい墓地の区画などによって費用は変わるため、新しい墓石を建てる場合と移設する場合の両方で見積もりを取り、比較するとよいでしょう。

新しい墓石を建てる場合

引っ越し先で新たに一般墓を建てる場合には、墓地の費用とは別に墓石の建立費用が必要です。

一般社団法人全国優良石材店の会が2025年に行った「お墓購入者アンケート」では、実際に墓石を購入した818人の墓石の平均購入価格は169.5万円でした。

ただし、これは「お墓の引っ越し費用の平均」ではありません。

墓石の種類や大きさ、石材、加工方法などによって価格は大きく異なるため、新しい墓石を建てる場合の参考値として考えてください。

また、新しい納骨先として永代供養墓、樹木葬、納骨堂などを選べば、新たに一般的な墓石を建立しない方法もあります。

法要を行う場合はお布施も考えておく

墓石を撤去したり遺骨を取り出したりする際に、寺院や宗派によっては閉眼供養などと呼ばれる法要を行うことがあります。

その場合には、僧侶へお布施をお渡しすることがあります。

ただし、法要の内容やお布施の金額には全国共通の料金表があるわけではありません。

「いくら包めばいいのかわからない」という場合には、現在のお寺へ直接尋ねて構いません。

住職の立場からすると、お布施について質問されること自体は決して失礼なことではありません。

「皆さんはどのくらいされていますか」「決まりはありますか」と率直に尋ねていただいた方が、かえってわかりやすいこともあります。

「墓じまいで高額な離檀料を請求される」って本当?

墓じまいの際に、寺院から離檀料などの名目で金銭を求められるケースはありますが、離檀料には全国共通の金額基準があるわけではありません。

そのため、「離檀料は○万円が相場」と一律に考えるのではなく、提示された場合は何に対する費用なのかを確認することが大切です。

寺院への伝え方や、高額な金額を提示された場合の考え方については、後述する「墓じまいをお寺にどう伝える?住職の立場から伝えたいこと」で詳しく解説します。

新しい納骨先によって総額は大きく変わる

お墓の引っ越し費用を考えるうえで、もっとも大きな違いが出やすいのが「遺骨をどこへ移すか」です。

たとえば、

  • 新しい一般墓を購入して墓石を建てる

  • 現在の墓石を別の墓地へ移設する

  • 永代供養墓へ移す

  • 樹木葬へ移す

  • 納骨堂へ移す

では、必要になる費用の内容そのものが異なります。

そのため、お墓の引っ越し費用を比較するときは、

「墓じまいだけでいくらか」ではなく、「現在のお墓を整理して、新しい場所へ納骨するまで全部でいくらか」

を確認することが重要です。

見積もりを取る際にも、どこまでが料金に含まれているのかを確認しておきましょう。

そして、現在使っている墓石をできれば残したいという方は、そもそも墓石を別の墓地へ持っていけるのかも気になるところでしょう。

次に、墓石そのものを引っ越すことができるのかを詳しく解説します。

墓石そのものを引っ越すことはできる?

「先祖代々使ってきた墓石だから、できれば処分せずに新しい墓地でも使いたい」

そう考える方もいるでしょう。

結論からいうと、墓石そのものを別の墓地へ移設できる場合があります。

ただし、どの墓石でも、どの墓地へでも自由に持っていけるわけではありません。

墓石を移設したい場合には、まず新しい墓地の管理者へ、現在の墓石を持ち込めるかどうかを確認する必要があります。

墓石を移設できるかは、新しい墓地の規則によって異なる

墓地や霊園には、それぞれ墓石の建立や工事に関する規則があります。

そのため、現在の墓石を移設したくても、

  • 既存の墓石の持ち込みが認められているか

  • 新しい区画に墓石の大きさが合うか

  • 墓石の高さや形状に制限がないか

  • 工事を依頼できる石材店が指定されていないか

などを確認しなければなりません。

実際に、墓地によっては指定石材店が決められている場合があります。

「移設できると思って新しい墓地を契約したのに、今の墓石を持ち込めなかった」ということにならないよう、契約前に確認することが大切です。

古い墓石でも移設できる?

墓石が古いからといって、必ず移設できないわけではありません。

ただし、墓石はもともと頻繁に移動することを前提に作られているものではないため、状態によっては移設が難しいことがあります。

石材店に、

  • 石にひび割れや欠けがないか

  • 解体や運搬に耐えられる状態か

  • 新しい墓所で再施工できるか

  • 新しい区画に合わせて加工が必要か

などを確認してもらいましょう。

長年屋外に建っていた墓石ですから、見た目だけでは判断できないこともあります。

墓石を移せば、新しく買うより安くなる?

ここも気になるところでしょう。

「墓石をそのまま使えば、新しい墓石を買わなくて済むから安くなる」

と思うかもしれません。

しかし、墓石の移設が必ずしも安くなるとは限りません。

墓石を移すには、

  1. 現在のお墓を解体する

  2. 墓石を運搬する

  3. 必要に応じて加工・補修する

  4. 新しい墓所の基礎工事を行う

  5. 墓石を再び組み立てる

といった作業が必要になります。

移動距離が長かったり、大きな墓石だったり、新しい区画に合わせた加工が必要だったりすると、費用が大きくなることもあります。

そのため、墓石を残したい場合には、

「現在の墓石を移設する場合」と「新しい墓石を建てる場合」の両方で見積もりを取って比較する

のがおすすめです。

費用だけでなく、「この墓石を残したい」というご家族の気持ちも含めて決めるとよいでしょう。

墓石の一部だけを残す方法もある

現在のお墓をそのまま移設することが難しくても、すべてを処分する以外の選択肢が考えられることもあります。

墓石の状態や新しい墓所の条件によっては、石材店と相談しながら、墓石の一部を再利用したり、新しいお墓に合わせて加工したりできることがあります。

「先祖が建てた墓石だから、できるだけ何か残したい」という希望がある場合には、撤去を決める前に石材店へ相談してみてください。

墓石を移すことと「改葬」は別に考える

ここは、お墓の引っ越しで特に混同しやすいポイントです。

墓石そのものを別の場所へ運ぶことは「墓石の移設」であり、それ自体が法律上の改葬という意味ではありません。

一方、その墓石の中に納められている遺骨を取り出して、新しいお墓へ移す場合には、遺骨について改葬の手続きが必要です。

つまり、

墓石を移す手続きと、遺骨を移す手続きは別々に考える必要があります。

「墓石も遺骨も一緒に引っ越したい」という場合には、

  • 新しい墓地が墓石を受け入れられるか

  • 石材店が移設可能と判断するか

  • 遺骨について改葬許可を取得できるか

この3点を確認して進めましょう。

そして、お墓の引っ越しで忘れてはいけないのが、現在のお寺との関係です。

「墓じまいをしたいけれど、住職にどう切り出せばいいかわからない」という方も少なくありません。

次に、住職の立場から、お寺へ墓じまいや改葬を相談するときに大切なことをお伝えします。

墓じまいをお寺にどう伝える?住職の立場から伝えたいこと

墓じまいや改葬について住職に相談するイラスト

寺院墓地にお墓がある方にとって、改葬の行政手続き以上に気が重いのが、

「住職に墓じまいのことを、どう伝えればいいのだろう」

という問題かもしれません。

インターネットで調べると、

「墓じまいを申し出たら怒られた」
「高額な離檀料を請求された」

といった話を目にすることもあります。

もちろん、寺院との関係やこれまでの経緯はそれぞれ違うため、すべてが円満に進むとは言い切れません。

ただ、最初から「お寺と戦わなければならない」と身構える必要もないと私は考えています。

墓じまいを切り出したら、お寺は嫌な顔をする?

私は住職として、お墓や供養についてさまざまな相談を受けています。

住職の立場からすると、

「墓じまいすることに決めました。必要な書類を出してください」

と結論だけを突然伝えられるよりも、

「遠方に住んでいて、お墓参りを続けるのが難しくなりました」

「子どもたちがこちらに住んでいないので、この先のお墓について相談したいんです」

と事情から話していただいた方が、ずっと話を進めやすいと感じます。

これは、墓じまいをするためにお寺の「機嫌を取る」という意味ではありません。

お墓には、遺骨だけでなく、これまでそのご家族が重ねてきた供養や寺院との付き合いがあります。

だからこそ、「お墓をやめます」という連絡ではなく、「これからの供養をどうしたらいいか相談したい」と話してみる。

それだけでも、受け取られ方はかなり違ってくると思います。

住職にどう切り出せばいい?

難しく考える必要はありません。

たとえば、

「実は、お墓のことで相談があります。私たちも高齢になり、今後ここまでお墓参りに来るのが難しくなってきました。子どもたちも遠方に住んでいるので、墓じまいや改葬を考えています」

というように、まず理由をそのまま伝えてみてください。

そのうえで、

  • 今のお墓をどうすればよいか

  • 遺骨を取り出す際に法要を行うのか

  • 墓所を返還する際に必要なことは何か

  • 手続きに必要な証明をどう受ければよいか

などを確認していけばよいでしょう。

まだ改葬先を完全に決めていない段階なら、

「墓じまいを決定しました」

ではなく、

「今後のお墓について考えているので相談したい」

という入り方でも構いません。

「長い間お世話になった」という気持ちは伝えてほしい

墓じまいをすると、それまで続いていた寺院との関係が変わることがあります。

私は住職として、だからといって「墓じまいをする人は、ご先祖を大切にしていない」とは思いません。

遠方に住んでいる、高齢になった、跡継ぎがいない。こういったさまざまな事情があって、これまでと同じ形でお墓を守れなくなることはあります。

ただ、長い間そのお墓で供養を続けてきたのであれば、

「これまでお世話になりました」

という気持ちは、ぜひ伝えていただきたいと思います。

墓じまいは、お寺と喧嘩をして縁を切るための手続きではありません。

今までの供養を一区切りにして、これからの供養へつなげていくためのものです。

そのように考えると、寺院への伝え方も少し変わってくるのではないでしょうか。

「高額な離檀料を請求された」という話は本当?

一方で、現実にトラブルがまったくないわけではありません。

国民生活センターにも、改葬を申し出た際に高額な離檀料を求められ、納得できないという相談が寄せられています。

ただし、離檀料には全国共通の明確な金額基準があるわけではありません。

そのため、インターネット上で見かける

「離檀料の相場は○万円」

「法要のお布施の○倍」

といった数字を、そのまますべての寺院に当てはめるのは避けた方がよいでしょう。

もし金額を提示されて疑問を感じたら、すぐに「払う・払わない」の話にするのではなく、

「この金額には何が含まれているのでしょうか」

と、まず内容を確認してみてください。

法要のお布施なのか、墓地に関する費用なのか、それとも別の意味を持つものなのか。

何に対する金額なのかがわからなければ、話し合うこともできません。

それでも納得できず、当事者間で解決することが難しい場合には、消費生活センターなど第三者へ相談する方法もあります。

お寺との話し合いで大切なのは「早めに相談すること」

墓石の撤去日も決まり、新しい納骨先も契約し、あとは現在のお寺から遺骨を出すだけ。

そこまで進んでから初めて寺院へ伝えると、お互いに十分な話をする時間がなくなってしまいます。

できれば、まだ検討している段階で相談してみてください。

住職として私が伝えたいのは、

お墓を引っ越すことそのものを申し訳なく思いすぎる必要はない

ということです。

暮らし方や家族構成が変われば、供養の形が変わることもあります。

大切なのは、今までのお墓をどう終わらせるかだけではなく、ご先祖やご家族の供養を、これからどのように続けていくのかを考えることだと思います。

現在のお寺と話し合いができたら、次に確認しておきたいのが、墓石の撤去や納骨の際に行われることのある「閉眼供養」「開眼供養」です。

これらは宗派や寺院によって考え方が異なるため、「墓じまいでは必ず必要」と一律に考えることはできません。

次に、住職の立場も交えながら整理します。

墓じまいで閉眼供養・開眼供養は必要?

墓前で手を合わせて供養する様子

墓じまいやお墓の引っ越しについて調べていると、

「墓石を撤去する前に、魂抜きをしなければならない」

「新しいお墓では、魂入れが必要」

といった説明を目にすることがあります。

一般に、墓石を撤去したり遺骨を取り出したりする際の法要を「閉眼供養」「性根抜き」「魂抜き」などと呼び、新しい墓石を建立した際の法要を「開眼供養」「性根入れ」「魂入れ」などと呼ぶことがあります。

ただし、これらの名称や意味、法要の考え方は宗派や寺院によって異なります。

そのため、「墓じまいでは必ず魂を抜かなければならない」「新しい墓石には必ず魂を入れなければならない」と、すべての宗派に共通する決まりのように考えるのは適切ではありません。

閉眼供養は改葬の行政手続きとして必要?

まず分けて考えておきたいのが、行政上の改葬手続きと、寺院が行う法要は別のものだということです。

遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す場合には、法律に基づいて改葬許可を受ける必要があります。

一方、閉眼供養などの法要を行うこと自体は、改葬許可を受けるための法律上の要件として定められているものではありません。

だからといって、

「法律に書いていないから、法要は必要ない」

と単純に考えるのも少し違います。

寺院墓地であれば、そのお墓がどのように供養されてきたのか、墓石を撤去するときにどのようなお勤めをするのかは、宗派や寺院によって考え方があります。

まずは現在のお墓を管理している寺院へ確認してください。

「閉眼供養=墓石から魂を抜く」とは限らない

「閉眼供養とは、墓石に宿っている故人の魂を抜く儀式です」

このように説明されることがあります。

しかし、この説明をすべての仏教宗派に当てはめることはできません。

そもそも「魂」や「墓石」をどう捉えるのかについても、宗派によって教義や考え方が異なるからです。

実際、同じ仏教でも、使われる法要の名称や、その意味づけには違いがあります。

たとえば浄土真宗本願寺派では、新しくお墓を建てた際の法要について「建碑式」と案内しており、「お性根入れとは申しません」と明確に説明しています。

つまり、インターネット上でよく使われる「魂入れ」「魂抜き」という言葉だけで、すべてのお寺の法要を説明することはできないのです。

住職としては、墓じまいを「供養の終わり」にはしてほしくない

私は住職として、墓石を撤去するときに大切なのは、単に石を片づけることではなく、これまで続けてきた供養を、これからの供養へつないでいくことだと考えています。

長い間、ご先祖やご家族がお参りしてきたお墓です。

事情があってその墓石を撤去することになったとしても、それまでの供養までなくなるわけではありません。

墓じまいという言葉には、どうしても「終わらせる」「処分する」という印象があります。

しかし実際には、

今までのお墓での供養に一区切りをつけ、新しい場所で供養を続けていく

と考える方が、私は自然だと思います。

閉眼供養などの法要を行う場合にも、「魂を抜かなければ祟られる」といった恐れから行うのではなく、これまでご先祖をお祀りしてきた場所に感謝し、新しい供養へつなげていく機会として考えてみてはいかがでしょうか。

新しいお墓では開眼供養をする?

新しく墓石を建立した際に、開眼供養などと呼ばれる法要を行う宗派や寺院があります。

ただし、先ほど説明したとおり、名称や意味は宗派によって異なります。

また、改葬先が一般墓ではなく、

  • 永代供養墓

  • 樹木葬

  • 納骨堂

などの場合には、従来型の墓石を新しく建てないこともあります。

その場合、どのような法要を行うのかについては、改葬先の寺院や霊園へ確認してください。

「墓じまいだから閉眼供養」

「新しいお墓だから開眼供養」

と名称だけで判断するのではなく、現在のお寺と新しい納骨先、それぞれに確認するのが確実です。

宗派や寺院によって違いがあるからこそ、わからないことを無理に自分で判断する必要はありません。

「うちの宗派では、どのようにすればよいでしょうか」

と住職へ尋ねていただければよいと思います。

では、お墓を引っ越したあと、遺骨を納める場所にはどのような選択肢があるのでしょうか。

次に、一般墓だけでなく、永代供養墓・樹木葬・納骨堂も含めて比較してみましょう。

お墓の引っ越し先にはどんな選択肢がある?

お墓を引っ越すことを決めたら、次に考えるのが「遺骨をどこへ移すか」です。

以前と同じように新しい一般墓を建てる方法もありますが、現在は永代供養墓、樹木葬、納骨堂など、さまざまな選択肢があります。

どれが一番よいというものではありません。

大切なのは、費用だけではなく、

  • 今後誰がお墓を管理するのか

  • 家族がお参りしやすいか

  • 遺骨を個別に安置したいか

  • 将来合祀されてもよいか

  • 墓石を残したいか

  • 宗旨・宗派などの条件があるか

まで考えて選ぶことです。

まず、それぞれの違いを大まかに整理してみましょう。

引っ越し先 特徴 向いている人
一般墓 墓石を建立し、家族などが承継・管理していく形式 今後も家族でお墓を守っていきたい人
永代供養墓 寺院・霊園などが遺骨の管理や供養を行う お墓の承継に不安がある人
樹木葬 樹木や草花などを墓標とする、または自然を感じられる墓所 従来型の墓石にこだわらない人
納骨堂 建物などの中に遺骨を収蔵する 交通の便や管理のしやすさを重視する人

一般墓へ引っ越す

「お墓をなくす」のではなく、現在よりも家族がお参りしやすい場所へ移したいのであれば、新しい一般墓を用意する方法があります。

新しい墓地に墓石を建立する方法のほか、条件が合えば、これまで使用してきた墓石を移設できることもあります。

ただし一般墓の場合、今後も誰かがお墓を管理・承継していくことを前提としている墓地があります。

そのため、

「自分たちの代までは守れるけれど、その後はどうなるだろう」

という場合には、契約前に承継条件なども確認しておきましょう。

永代供養墓へ引っ越す

「子どもにお墓の管理を任せたくない」

「お墓を継ぐ人がいない」

という場合には、永代供養墓も選択肢になります。

永代供養では、家族に代わって寺院や霊園などが遺骨の管理や供養を行います。

ただし、「永代供養=最初からすべての遺骨を一緒に納める」という意味ではありません。

施設によって、

  • 最初から合祀する

  • 一定期間は個別に安置し、その後合祀する

  • 期限を設けず個別に管理する

など、遺骨の安置方法が異なります。

特に注意したいのが合祀です。

ほかの方の遺骨と一緒に納められたあとでは、特定の遺骨だけを取り出すことが難しくなる、またはできなくなる場合があります。

そのため、「費用が安いから」という理由だけで決めず、将来の遺骨の扱いまで確認してから契約しましょう。

永代供養墓の種類や選び方について詳しくはこちら

合祀と永代供養の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています

樹木葬へ引っ越す

樹木葬も、お墓の引っ越し先として選ばれる方法のひとつです。

一般的な墓石の代わりに樹木や草花などを墓標としたり、自然を感じられる墓所に納骨したりする形式があります。

ただし、「樹木葬」という名称だけでは、実際の納骨方法まではわかりません。

施設によって、

  • 一人ずつ個別に納骨する

  • 家族単位で使用する

  • 一定期間後に合祀する

  • 最初から共同の場所へ納骨する

などの違いがあります。

そのため、樹木葬を検討するときにも、

「どこに、どのような状態で遺骨が納められるのか」

を確認することが大切です。

納骨堂へ引っ越す

納骨堂は、建物などの中に遺骨を収蔵する施設です。

駅から近い施設や屋内でお参りできる施設もあり、

「遠方のお墓へ通うのが大変だったので、家族の近くへ移したい」

という方にとって選択肢になることがあります。

ただし、納骨堂も施設によって仕組みはさまざまです。

使用期間が決められている場合や、一定期間後に合祀される場合もあります。

契約するときには、

  • 個別に安置される期間

  • 契約期間終了後の遺骨の扱い

  • 年間管理費の有無

  • 承継者が必要か

  • お参りできる時間や方法

などを確認しておきましょう。

「一番安いところ」だけで決めない

お墓の引っ越しでは、現在のお墓の撤去にも費用がかかるため、新しい納骨先について「できるだけ安くしたい」と考えるのは自然なことです。

しかし、私は住職として、金額と同じくらい「その後、どのようにお参りしたいのか」を考えてほしいと思っています。

たとえば、

「自分たちだけでなく、子どもも時々お参りしたい」

のであれば、通いやすい場所であることも大切です。

「将来も遺骨を個別にしておきたい」

のであれば、合祀される時期や条件を確認しなければなりません。

逆に、

「自分たちの代でお墓の管理を終え、将来の負担を残したくない」

のであれば、永代供養という方法が合うこともあります。

お墓の引っ越しは、遺骨の場所を変えるだけではなく、これからの供養の形を選び直す機会でもあります。

「今のお墓をどう片づけるか」だけではなく、

「これから、どこなら無理なく手を合わせ続けられるか」

という視点で考えてみてください。

新しい納骨先を選ぶ際には、資料だけではわからないこともあります。

可能であれば実際に現地を見学し、納骨方法や費用、将来の遺骨の扱いまで確認したうえで比較することをおすすめします。

墓じまい後の供養方法をもっと比較したい方はこちら

永代供養墓・樹木葬・納骨堂などから比較できます

お墓の引っ越し先を探す

お墓の引っ越しで後悔しないための注意点

墓石に供えられた花

お墓の引っ越しは、手続きさえ終わればよいというものではありません。

一度墓石を撤去したり、遺骨を合祀したりすると、あとから元の状態に戻すことが難しいこともあります。

実際に動き始める前に、次の点を確認しておきましょう。

合祀した遺骨は取り出せないことがある

永代供養墓や樹木葬などを選ぶ際に、特に確認してほしいのが遺骨の納め方です。

施設によっては、一定期間は骨壺などで個別に安置し、その後ほかの方の遺骨と一緒に合祀するところがあります。

また、最初から合祀する施設もあります。

一度ほかの方の遺骨と一緒に納められると、あとから、

「やはり家族のお墓へ戻したい」

「別の場所へ改葬したい」

と思っても、特定の遺骨だけを取り出すことができない場合があります。

そのため、契約前には、

  • いつ合祀されるのか

  • 個別に安置される期間はあるのか

  • 合祀前であれば遺骨を取り出せるのか

  • 合祀後の遺骨はどのように扱われるのか

まで確認してください。

特に費用の安さだけを見て決めず、将来変更できること・できないことまで理解して選ぶことが大切です。

新しい納骨先を決める前に、今のお墓を撤去しない

「墓じまいをすることは決めたから、まず墓石を撤去しよう」

と考えるかもしれません。

しかし、先に現在のお墓だけをなくしてしまうのはおすすめできません。

遺骨を改葬するには、新しい納骨先を決め、改葬許可の手続きを進める必要があります。

また、墓石を撤去する場合には、墓地管理者との確認や工事の手配も必要です。

基本的には、

新しい納骨先を決める
↓
現在のお寺・墓地へ相談する
↓
改葬許可の手続きをする
↓
遺骨を取り出す
↓
墓石を撤去・墓所を返還する

という順番で考えるとよいでしょう。

「遺骨を取り出したけれど、まだ納める場所が決まっていない」という状態にならないよう、全体の流れを決めてから進めてください。

親族にはできるだけ早く相談する

お墓は、名義上の使用者だけの問題とは限りません。

先祖代々のお墓であれば、兄弟姉妹や親戚など、それぞれに思い入れを持っていることがあります。

特に、

「墓石を撤去する」

「遺骨を遠方へ移す」

「合祀する」

といったことは、あとから知った親族とのトラブルにつながることがあります。

法律上誰の承諾が必要なのかという話とは別に、家族の供養に関わることだからこそ、できるだけ事前に話しておくことをおすすめします。

私は住職としても、

「自分ではこれが一番よいと思って決めたけれど、あとから親戚に反対された」

という状況は、できれば避けてほしいと思っています。

全員がまったく同じ考えになる必要はありません。

それでも、

なぜお墓を引っ越したいのか

をあらかじめ伝えておくだけで、受け止め方は違ってくると思います。

墓石を移設したいなら、新しい墓地を契約する前に確認する

現在の墓石を新しい墓地でも使いたい場合は、墓地を契約する前に、既存墓石の持ち込みが可能かを必ず確認しましょう。

墓石の移設条件については、前述の「墓石そのものを引っ越すことはできる?」で詳しく解説しています。

見積もりは「総額」だけで判断しない

墓じまいや墓石の移設では、見積書の金額だけを比較すると内容の違いを見落とすことがあります。

たとえば、

  • 墓石の解体

  • 基礎部分の撤去

  • 廃材の処分

  • 遺骨の取り出し

  • 運搬

  • 新しい墓所での施工

など、どこまで料金に含まれているのかは業者によって異なることがあります。

墓地によっては、工事を依頼できる石材店が指定されている場合もあります。

見積もりを受け取ったら、「何にいくらかかるのか」「追加料金が発生する可能性はあるのか」まで確認してから依頼することが大切です。

「永代供養」という名前だけで契約内容を判断しない

「永代供養なら、あとはずっと何もしなくていい」

と思われることがあります。

しかし、永代供養の内容は施設によって異なります。

たとえば、

  • 個別安置される期間

  • 合祀される時期

  • 年間管理費の有無

  • 法要の内容

  • お参りの方法

  • 使用できる人数

  • 契約終了後の遺骨の扱い

などは、すべて同じではありません。

大切なのは、「永代供養かどうか」だけではなく、「その施設では具体的にどのように管理・供養されるのか」を確認することです。

パンフレットやホームページだけでわからない点があれば、契約前に質問しましょう。

お墓の引っ越しは、急いで結論を出さなくてもいい

「自分が元気なうちに何とかしなければ」

「子どもに迷惑をかけたくないから、早く墓じまいしよう」

と焦ってしまう方もいるかもしれません。

もちろん、早めに考え始めることは大切です。

ただ、早く考えることと、急いで決めることは違います。

私は住職として、お墓のことを考えるときには、

「どうやって今のお墓をなくすか」だけでなく、「これから誰が、どこで、どんなふうに手を合わせるのか」

まで考えて決めてほしいと思っています。

墓じまいをしないという結論になることもあるでしょう。

一般墓から一般墓へ引っ越す方もいれば、永代供養を選ぶ方もいます。

家族によって答えは違います。

だからこそ、家族や現在のお寺とも話しながら、納得できる方法を選んでください。

お墓の引っ越しについてよくある質問

お墓の引っ越しと改葬は同じですか?

完全に同じ意味ではありません。

「お墓の引っ越し」は一般的な呼び方で、遺骨を別のお墓や納骨堂へ移したり、墓石そのものを別の墓地へ移設したりすることを含めて使われることがあります。

一方、法律上の「改葬」は、現在埋葬・埋蔵・収蔵されている遺骨などを、別の墳墓や納骨堂へ移すことを指します。

つまり、墓石を移すこと自体ではなく、遺骨を移すことが改葬です。

墓じまいと改葬は何が違いますか?

墓じまいは現在のお墓を撤去・返還すること、改葬は遺骨を別の場所へ移すことです。

たとえば、現在のお墓を撤去して、遺骨を永代供養墓へ移す場合には、

「現在のお墓を墓じまいする」
+
「遺骨を永代供養墓へ改葬する」

という2つのことを行うことになります。

墓じまいをしただけでは、遺骨の新しい行き先が決まるわけではありません。

お墓は勝手に引っ越してもいいですか?

遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す場合には、勝手に移すことはできません。

墓地、埋葬等に関する法律により、改葬には市区町村長の許可が必要です。

また、寺院墓地や霊園では墓石の撤去や墓所の返還について規則が定められていることもあるため、現在の墓地管理者にも事前に確認しましょう。

改葬許可証はどこでもらえますか?

原則として、現在遺骨が納められている場所を管轄する市区町村へ申請します。

新しいお墓がある市区町村ではありません。

たとえば、埼玉県にあるお墓から東京都のお墓へ遺骨を移す場合には、現在遺骨がある埼玉県側の市区町村へ改葬許可を申請します。

申請書の様式や必要書類は自治体によって異なるため、手続き前に申請先の自治体へ確認してください。

受入証明書は必ず必要ですか?

全国すべての自治体で「受入証明書」という名称の書類が必須というわけではありません。

国の施行規則では、現在の墓地・納骨堂管理者が作成した、遺骨が埋蔵・収蔵されていることを証明する書面などが必要とされています。

一方で、新しい納骨先の受入証明書や使用許可証などを求める自治体もあります。

必要書類は自治体によって異なるため、現在のお墓がある市区町村へ確認するのが確実です。

墓石もそのまま引っ越せますか?

条件が合えば、現在の墓石を別の墓地へ移設できることがあります。

ただし、新しい墓地が既存墓石の持ち込みを認めていることが前提です。

墓石の大きさや形状、区画の寸法、石の状態、指定石材店の有無などによって移設できないこともあります。

墓石を残したい場合は、新しい墓地を契約する前に、墓地管理者と石材店の両方へ相談しましょう。

お墓の引っ越しにはいくらかかりますか?

お墓の引っ越しには、全国共通の一律料金はありません。

主に、

  • 現在の墓石の撤去

  • 遺骨の取り出し

  • 法要を行う場合のお布施

  • 墓石の移設

  • 新しい納骨先

  • 新しい墓石を建てる場合の費用

などが関係します。

「墓じまいだけでいくらか」ではなく、現在のお墓を整理して、新しい場所へ納骨するまでの総額で比較することが大切です。

離檀料は必ず払わなければいけませんか?

離檀料には、全国共通の明確な金額基準はありません。

国民生活センターも、離檀料については明確な料金基準がなく、基本的には寺院との話し合いになると案内しています。

住職の立場からすると、金額だけを先に考えるのではなく、まずは墓じまいや改葬を考えている事情を寺院へ伝え、今後について相談することが大切だと思います。

もし提示された金額に疑問がある場合には、「何に対する金額なのか」を確認し、納得できない場合は十分に話し合いましょう。

墓じまいでは閉眼供養を必ずしなければいけませんか?

閉眼供養などの法要は、改葬許可を取得するための法律上の必須手続きではありません。

ただし、墓石を撤去したり遺骨を取り出したりする際に法要を行う寺院や宗派があります。

名称や考え方も宗派によって異なるため、

「墓じまい=必ず魂抜きをする」

と一律に考えるのではなく、現在のお寺へ確認してください。

永代供養墓へ遺骨を引っ越すことはできますか?

できます。

現在のお墓から遺骨を取り出し、永代供養墓へ移す場合も「改葬」にあたるため、改葬許可の手続きが必要です。

ただし、永代供養墓によって、

  • 最初から合祀する

  • 一定期間個別に安置したあと合祀する

  • 個別管理を続ける

など、遺骨の扱いが異なります。

特に合祀後は遺骨を個別に取り出せないことがあるため、契約前に納骨方法と将来の遺骨の扱いまで確認しておきましょう。

お墓の引っ越しは、まず何から始めればいいですか?

まずは、「なぜお墓を引っ越したいのか」「遺骨をどこへ移したいのか」を家族で整理することから始めましょう。

そのうえで、新しい納骨先を探しながら、現在のお寺や墓地へ相談します。

最初からすべての手続きを理解しておく必要はありません。

お墓の引っ越しは、

家族で話す → 新しい納骨先を考える → 現在のお寺・墓地へ相談する → 改葬手続きを進める

という順番でひとつずつ進めていけば大丈夫です。

まとめ|お墓の引っ越しは「これからの供養」を考える機会

手でハートを作り、大切な人を想うイメージ

お墓の引っ越しは、単に墓石や遺骨を別の場所へ移すだけではありません。

まず理解しておきたいのは、

  • 改葬=遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すこと

  • 墓じまい=現在のお墓を撤去し、墓所を返還すること

  • 墓石の移設=現在の墓石そのものを別の墓地へ移すこと

という違いです。

遺骨を改葬する場合には、市区町村長の許可が必要です。

また、現在のお寺や墓地への相談、新しい納骨先の決定、墓石の撤去や移設など、いくつかのことを順番に進めていく必要があります。

お墓の引っ越しを考え始めたら、

  1. 家族・親族でお墓の引っ越しについて話し合う

  2. 新しい納骨先を決める

  3. 現在のお寺・墓地へ相談する

  4. 改葬許可の申請をする

  5. 遺骨を取り出す

  6. 必要に応じて墓石を撤去し、墓所を返還する

  7. 新しいお墓・納骨堂などへ遺骨を納める

という流れで、一つずつ整理していきましょう。

私は住職として、お墓を引っ越すことや墓じまいをすること自体が、ご先祖を大切にしないことだとは考えていません。

遠方に住んでいる、高齢になった、子どもに負担を残したくない、お墓を継ぐ人がいない。

家族の状況が変われば、それに合わせて供養の形を見直すこともあります。

大切なのは、

「今のお墓をどうなくすか」ではなく、「これからどのように供養を続けていくか」

まで考えることではないでしょうか。

その結果、今のお墓を残すことを選んでも構いません。

家族の近くへ一般墓を移す方法もあれば、永代供養墓や樹木葬、納骨堂などへ改葬する方法もあります。

焦って決める必要はありません。

家族や現在のお寺とも話しながら、自分たちにとって無理なく続けられる供養の形を探してみてください。

お墓の引っ越し先を探している方へ

「墓じまいをしたいけれど、遺骨をどこへ移せばいいかわからない」

「子どもに負担を残さない永代供養を探したい」

「自宅の近くでお参りできる場所へ遺骨を移したい」

という方は、新しい納骨先を比較するところから始めることもできます。

「みんなの永代供養」では、永代供養墓・樹木葬・納骨堂など、さまざまな供養方法から希望に合ったお墓を探すことができます。

費用だけでなく、遺骨の安置方法、合祀の時期、承継者の要否、年間管理費、お参りのしやすさなども確認しながら比較してみてください。

お墓の引っ越しは、今までの供養を終わらせるためだけのものではありません。

これからも無理なく手を合わせ続けられる場所を見つけること。

それが、お墓の引っ越しで一番大切なことだと私は思います。

永代供養墓・樹木葬・納骨堂などから比較できます

お墓の引っ越し先を探す

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