お墓参りでの、お線香マナーとは
お墓参りに行くときに持って行くものとして、真っ先に思いつくのがお花とお線香。
お花は亡くなった方が好きだったものや、お墓参り用として売られているものをお供えすればいいですが、
お線香に関しては「何本あげればいいの?」「どっち向きで寝かせるの?」「作法ってあるの?」など
実はよく知らないで、なんとなくやっていませんか。もちろんお線香を供えるには心がこもっていることが一番大事で、それさえあれば他は気にしなくていいとも言えますが、スマートにできれば、ご先祖様や故人の方にもっと喜んでもらえますよね。
目次
お線香の意味
そもそもなぜ、お墓参りに行くときにはお線香が必要で、どんな意味があるのでしょうか。
それがわかればお線香をあげるときに、更に心を込めてあげることができるようになりますね。
・仏教では五供(ごく)と呼ばれるものが、御供物の基本とされます。五供とは「香」「花」「灯明」「水」「飲食」の5つがあり、お線香は「香」です。
そして「香りは亡くなった人が食べる物で、いい香りは生前に良い行いをしていた人のもの。悪い香りは行いの悪かった人が食べるもの」と、されています。
この考えから良い香りがするお線香をお供えします。良い香りを食べられる良い人は、極楽浄土に行けますからね。
・お線香の煙や香りはお参りに来た人の心身や、お墓周りの邪気を払い、空気を清めます。
ずっと以前のように火葬をせず、土葬だった頃には特に、余計な匂いを消す効果があったようです。
・お線香の煙や香りにのせて、ご先祖様や故人と繋がり、思いを伝える役割があります。
・お墓に入っているご先祖様や故人に「お墓参りに来たよー」と、玄関のチャイムを鳴らすように伝える合図にもなります。そしてご先祖様や故人と繋がります。
お線香のあげ方、マナー
同じ仏教でも各宗派や地域も風習、習慣によって様々な違いが見られますが、基本的にあげられるポイントをご紹介します。
・お線香を供える前に、墓石の掃除や墓所の草むしりなどをして綺麗にしましょう。そしてお水やお花などの供物をお供えしてから、最後にお線香に火をつけます。
・お線香をまとめてある紙の帯は外して持ち帰るか、ゴミ箱に入れて処分してください。
・できればローソクに火を灯して、その火からお線香に火をつけるようにします。
・仏教では、人の息は汚れているという考えがあるので、お線香の火を口の息で吹き消すことはしてはいけません。手で仰いだり下にスッと引いたりして消してください。
ローソクの火も同様で、息で吹き消すことはしないで手で仰いだり、ロウソク消しのような道具を使うようにしましょう。
・お線香を寝かせて供えるときは、火がついている方が左になります。もしも前の人が右にしていたら、それに合わせましょう。
・お線香は最後まで燃やし切るようにしましょう。
急いでいる場合などをのぞいて、そのくらいの時間はご先祖様や故人のことを思ったり、一緒にいる人がいたら思い出話をしてもいいでしょう。
他にも細かいことはありますが、霊園や墓地の決まりがある場合はそれをきちんと守り、火の取り扱いには十分に気をつけてください。
各宗派別、お墓参りでのお線香の本数
気になるのはお供えするお線香の本数。これについても各宗派や地域によって違いが見られます。
家族や親戚以外のお墓にお参りするときは、宗派が何なのか確認しておければ良いですね。ただ、きちんと心を込められれば、あまり細かいことにとらわれないようにするのがいいと思います。
基本的な本数は下記のようです。
◯ 真言宗
真言宗は仏壇にお線香をあげるときは3本あげるのが基本ですが、お墓参りのときはとくに決まりはなく、3~10本をあげます。
◯ 浄土宗
浄土宗は特に決まりはないようです。1本のお線香を2つに折ってお供えすることがあります。
◯ 浄土真宗
浄土真宗も浄土宗のように、特に本数の決まりはないようですが、1本を2~3本に折って火を左にして寝かせてお供えするのが特徴です。
◯ 曹洞宗、臨済宗
曹洞宗、臨済宗では基本的には1本のお線香をあげます。
◯ 天台宗
天台宗では、あげるお線香の本数に決まりはありませんが、3~10本をあげることが多いようです。
◯ 日蓮宗
日蓮宗では1本、または3本のお線香をあげます。
これらはあくまでも基本的な本数で、絶対にこれでなければならないということはありません。
大切なのはご先祖様や故人を思い手を合わせ、供養するあなたの心です。
まとめ
お墓参りのときに気をつけたいマナーや作法などを解説しましたが、同じ宗派でも地方の風習やお寺によって違いが見られます。作法は、それを知って守れればそれに越したことはありませんが、そうでなければいけないということはありません。
ここに書いたことも、あくまで参考程度にしていただき、よりスマートにできたらいいですね。
大切なのは、ご先祖様や故人に思いを馳せて手を合わせ、心から供養するあなたの気持ちです。