墓じまいにお布施は必要?お布施の相場やマナーも合わせて紹介
近年、お墓の管理が難しくなり、墓じまいを検討する方が増えています。墓じまいに際して、「お布施は必要?」「お布施はいくら包むのが良い?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
このコラムでは、墓じまいにお布施は必要か、墓じまいのお布施の相場などについて詳しく解説します。墓じまいでお布施を渡す際には渡し方や袋などのマナーがあり、しっかり理解して渡すことが大切です。墓じまいのお布施のマナーについても詳しく紹介しているため、墓じまいのお布施に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
目次
墓じまいとは?
墓じまいとは、今ある場所から墓石を撤去して更地にし、土地の使用権を墓地の管理者に返還することです。お墓や納められているご遺骨を勝手に取り出したり、別の場所に納骨することは「墓地、埋葬等に関する法律」で禁止されています。
墓じまいをする場合は、市町村や墓地の管理者に対して適切な手続きを取ることが大切です。
また、現在のお墓を撤去して、別の場所に納骨することを改葬といいます。改葬をする際にも、手続きをして改葬許可証を取得する必要があります。
出典:厚生労働省Webサイト「墓地、埋葬等に関する法律の概要」
墓じまいをする理由
墓じまいをせず、代々継承されないお墓は将来無縁仏として取り扱われる可能性があります。近年、墓じまいが増加している背景として、お墓が遠方にありお墓参りに行けない方が増えていることが挙げられます。
お墓が地方にあるなど、自分や家族のお参りが難しくなった場合、墓じまいをして身近で供養できるように改葬する方も多いのです。また、お墓の維持には墓地の管理費が毎年数千円〜2万円程度かかります。
お参りに行けないのに管理費を払い続けることになるため、墓じまいを検討する方が多いといわれています。
墓じまいについてこちらの記事で徹底解説していますので、合わせてご覧ください。
【保存版】墓じまいマニュアルー墓じまいをするならこれで完璧ー
墓じまいのお布施について
お布施とは
墓じまいのお布施についてお話しする前に、そもそもお布施とは何なのかについて簡単にご説明いたしますね。
お布施とは、僧侶に対して感謝の気持ちを表すものです。お布施は僧侶が行った読経や戒名などに対して支払う対価ではなく、「お礼」としてお渡しするものです。
お布施はあくまでも「感謝の気持ち」なので明確な金額が決まっているものではありませんが、どれぐらい渡したら良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
次から墓じまいのお布施について詳しく解説していくので、墓じまいのお布施の費用相場やマナーも合わせてみていきましょう。
墓じまいのお布施は必要?
墓じまいをする際には、墓石の撤去や土地の使用権の返還だけでなく、お墓に宿っている先祖の魂を抜く儀式も行います。この儀式のことを閉眼供養といいます。閉眼供養は、僧侶を招いて位牌を焚き上げお経をあげてもらう、れっきとした法要です。
そのため、僧侶へのお礼として墓じまいにもお布施を準備する必要があります。お墓を守っていただいたことや、先祖代々供養してもらっていることへの感謝の気持ちとして、墓じまいでもお布施を渡しましょう。
しかし墓じまいのお布施はお礼として渡すものであり、法的なルールや支払い義務はありませんが、先祖の魂を抜き、また新しい場所で魂を込める前の一区切りとして、墓じまいのお布施は気持ちよく渡すのが良いでしょう。
墓じまいのお布施の金額は?お布施の費用相場を紹介
墓じまいの際に渡すお布施は、まずはお礼の気持ちがもっとも大切であり、金額に明確なルールはありません。ただし相場として、個人的な付き合いのある僧侶に渡す場合の墓じまいのお布施は、3万円〜10万円程度です。
墓じまいのお布施は地域やお寺によって金額が大きく異なるため、具体的なお布施の金額が知りたい場合はお寺や知人に確認しましょう。また、ネットで僧侶を手配できるサービスもあり、その場合、墓じまいのお布施は3万円〜5万円が相場です。
墓じまいでお布施を渡す際のマナー
墓じまいをする機会はあまり多くないため、墓じまいでのお布施の封筒はどうしたら良いかや、渡し方がわからない方も多いでしょう。墓じまいでお布施を渡す際に、気を付けるべきマナーがいくつかあります。ここからは、墓じまいでお布施を渡す際のマナーを詳しく解説します。
墓じまいのお布施は不祝儀袋やのし袋に包む
墓じまいのお布施の袋は何を使ったら良いか悩む方も多いのではないでしょうか?
墓じまいのお布施は僧侶に感謝の気持ちを伝えるものであるため、袋についても明確なルールはありません。ただし、一般的には不祝儀袋やお布施袋に包んで渡すことが多いです。不祝儀袋には水引を用いたものがありますが、墓じまいのお布施には水引は必要ありません。
万が一、不祝儀袋やお布施袋が用意できない場合、白い封筒やのし袋でも代用できます。白い封筒を選ぶ際には、郵便番号の印刷がない無地のものを選びましょう。また、のし袋で代用する場合は双銀や黄白の結び切りやあわじ結びが最適です。
墓じまいのお布施の表書き
墓じまいのお布施の表書きには、渡す目的である「お布施」や「御布施」と記載しましょう。
「読経料」や「戒名料」は僧侶の労働に対する対価とみなされるため、避けるのが良いでしょう。不祝儀袋やお布施袋はあらかじめ表書きが印刷されているものもあり、それを利用すると便利です。
お悔やみの場合、表書きは薄墨で書きますがお布施の場合は濃墨で記載します。袋の下部には自分の氏名か「○○家」と苗字を書きます。
また、裏面には右側に包んだ金額、左下側に縦書きで自分の氏名、住所を書くのが一般的です。
金額は金参萬圓や金伍萬圓など漢数字の旧字体を使用しましょう。
墓じまいのお布施はいつ渡す?
墓じまいでお布施を渡すタイミングは、閉眼供養を行う前後にするのが良いでしょう。祝儀盆などのお盆に乗せて渡すのがマナーですが、お盆が無い場合はお布施を袱紗で包み、渡す際に袱紗の上に乗せて渡しましょう。
閉眼供養の前に渡す場合、「本日はよろしくお願いします」と僧侶に挨拶するタイミングでお布施を渡すのがおすすめです。また、閉眼供養後に渡す場合は、読経後に「本日はお勤めありがとうございました」とお礼を伝えるタイミングで渡しましょう。
お布施のお金を入れる向きにも注意する
不祝儀袋やお布施袋に入れるお札は、人物の顔が表で上部にくるように向きを揃えましょう。
墓じまいのお布施に使うお札は、新札でも古いお札でもかまいません。お通夜や告別式の際の香典は、古いお札を裏向きに入れるのがマナーです。
しかし、閉眼供養はあらかじめ決まっている法要のため、墓じまいのお布施は新札でも問題ないとされています。
墓じまいの服装マナーや持ち物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
墓じまいのときの服装マナーは?持ち物やお布施についても解説
墓じまいでお布施以外に必要な費用
墓じまいの時にお寺に渡すものは何があるのでしょうか?墓じまいをする際には、お布施以外にも必要なお金があります。
ここからは、墓じまいでお布施とともに僧侶に渡す、御車代と御膳料について紹介します。
御車代
御車代とは、僧侶が電車やタクシー、自家用車で法要に来てくれた場合に交通費として渡すお金です。供養を寺院で行う場合や遺族が送迎する場合は、御車代は必要ありません。御車代の相場は移動手段や移動距離にもよりますが、5,000円〜1万円程度です。
御車代は墓じまいのお布施とは別々に包み、渡すときはお布施と一緒に渡すのが一般的です。
御膳料
墓じまいの法要後は僧侶や参列者をおもてなしするため、会食の席をもうけることが多いです。御膳料とは、僧侶が忙しく会食に参加できない場合に、おもてなしの代わりに渡すお金のことです。法要が終わった後、僧侶に会食の参加をお願いし、これを僧侶が辞退した場合に御膳料を渡しましょう。
御膳料の相場は5,000円〜1万円程度ですが、ホテルや料亭などで会食する場合は1万円〜2万円の御膳料を用意すると良いでしょう。御膳料は僧侶の人数分を用意し、包むときは1つの袋に人数分の御膳料をまとめて包んで渡します。
新しい納骨先でのお布施について
墓じまいをした後は、遺骨を別の場所に移すことになりますが、納骨先によってもお布施が必要かどうかが変わってきます。お布施が必要かケース別にみていきましょう。
1.納骨法要のお布施
墓じまいをした後、永代供養墓や樹木葬に遺骨を移し納骨法要を行う場合3〜5万円ほどのお布施が必要となります。
ただし納骨先の霊園によって、永代供養料に含まれている場合もあるので事前に確認しておきましょう。
2.開眼供養のお布施
新たに一般墓に遺骨を納骨する場合は、新しい墓石に魂を入れる開眼供養を行います。僧侶に読経をしてもらうので、約3〜5万円のお布施をお渡しするのが一般的です。
3.手元供養や散骨
墓じまい後に新たな場所に納骨するのではなく、手元供養や散骨を選ぶ場合はお布施の必要はありません。
永代供養のお布施についてはこちらの記事で詳しく解説していますので墓じまいの後に永代供養墓をお考えの方はこちらもご覧ください。
永代供養に必要なお布施の内容・相場や渡し方について詳しく解説
墓じまいの際、石屋さんへのお礼は必要?
墓じまいをする際、石屋さんに墓石の撤去などを依頼しますが、その際にお礼を渡すべきか悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか?
昔は職人の方への感謝の気持ちとしてお礼を渡すのが一般的でしたが、墓じまいの際の石屋さんへのお礼は最近では渡さないといったケースも増えており必ずしも必要ではありません。
あくまでも感謝の気持ちなので、渡す場合は「寸志」と書いて感謝の言葉と共に渡すようにしましょう。
注意が必要なのは、「お礼」が請求額に含まれている場合もあるので、必ず請求書を確認した上でお渡しするようにしましょう。
墓じまいに招かれた親戚はお金は必要?
墓じまいに親族として招かれたとき、香典やお布施といったお金を用意する必要があるのか、招かれた側は気になるポイントになるでしょう。
墓じまいや改葬の時に香典は必要ありませんが、建碑祝いやお供えを用意する必要があります。
墓じまいをして新しい納骨先が決まっていない時や永代供養墓に移す時はお祝いする日ではないため、不祝儀袋に「お供え」や「御仏前」と書き5千円〜1万円程包むのが一般的です。
墓じまい後に新しいお墓に遺骨を移す場合は、新しいお墓が建ったお祝いでもあるため祝儀袋に「建碑祝い」と書き5千円〜1万円程包むようにしましょう。
まとめ
このコラムでは、墓じまいでのお布施の相場や墓じまいでお布施を渡す際のマナーなどを紹介しました。お互いが良い気持ちになれるように、墓じまいでのお布施を渡すタイミングや渡す際のマナーはおさえておくことが大切です。
墓じまいのお布施の相場は地域やお寺によって異なるため、不安な場合はお寺や親戚に確認しておきましょう。
先祖代々続いていたお墓を墓じまいすることに抵抗のある方もいるでしょう。ただし大切なのは、きちんと墓じまいをし、気持ちよく次の世代に繋げていくことです。
墓じまいのお布施について悩んでいる方は、この記事を参考にしてみてください。