お墓を放置するとどうなるの?無縁墓・管理費・田舎墓について
近年「お墓の管理ができていない…」「実家のお墓が遠くて行けない…」と悩む方が増えています。少子高齢化やライフスタイルの変化が進む現代では、お墓との向き合い方を見直す必要があるかもしれません。この記事では、お墓を放置することのリスクと具体的な解決策を分かりやすく解説していきます。
目次
お墓の放置が増えている背景について
「お墓を放置してしまっている…」と感じている方は、年々増加傾向にあります。その背景には、社会そのものの、そして家族のあり方が変わっていることが大きく影響しているのです。
- 少子高齢化や核家族化で、お墓を継ぐ人がいなくなった
- 都市部への移住で、実家や田舎のお墓が遠くていけない
- 忙しい毎日で、お墓参りや掃除が後回しになってしまっている
こうした事情から、ついついお墓を放置してしまっている方も多いようです。この記事では、「具体的にお墓は何年放置するとよくないのか」「田舎墓の放置について」「子どもがいない場合のお墓の悩み」について、最新の情報を交えながら、分かりやすく解説していきます。
お墓を放置するとどうなる?知っておきたいリスク
お墓を長い期間放置すると、思わぬトラブルやリスクが発生することがあります。具体的な問題をみていきましょう。
墓地管理者とのトラブル
- 管理費の未払いが続くと、墓地管理者から督促状や連絡が届くことがある
- 最悪の場合は、規約違反とみなされて墓所の使用権を失う
- 墓石が倒れるなど、周囲に損害を与えてしまったら、損害賠償を請求される
墓地や霊園にはそれぞれ管理規約があり、定期的な清掃や管理費の支払いが義務付けられています。これを守らないと、契約違反として厳しい対応を取られるケースもあるので注意が必要です。
お墓の劣化・景観悪化
- 雑草が生い茂り、墓石が汚れたり傾いたりする
- 墓地全体の景観が悪くなり、他の利用者に迷惑がかかる
- 虫や動物が住みつき、周囲から苦情が寄せられる
お墓をしっかり管理していないと、衛生面でも問題が発生します。特に近年は異常気象による被害も増えています。放置されたお墓は倒壊や損傷のリスクが高くなるので注意が必要です。
無縁墓として処理されるリスク
- 長期間の放置や管理費未払いが続くと「無縁墓」として扱われる
- 墓地管理者によって墓石が撤去され、遺骨は合祀墓に移されてしまう
- 一度合祀されると、個別のお参りや供養ができなくなる
無縁墓とは管理する人・供養する人がいないお墓のことです。墓地埋葬法に基づき、一定の公告期間を経て処理されるため、気づいたときには既に撤去されていた…というケースもあるようです。
お墓何年放置すると撤去される?
お墓を長期間放置するとさまざまなリスクがあることが分かりました。ここで「何年くらい放置したら危険なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際のところ、墓地によって変わりますが、一般的な目安をお伝えします。
公営墓地や民間霊園では、3〜5年の管理費未払いで警告が届き、5〜7年で撤去対象になります。寺院墓地の場合は、10年以上放置で無縁墓扱いされるケースもあるようです。
ちなみに撤去までの流れは以下の通りです。
- 督促状や電話連絡
- 墓地内や官報での公告(6カ月以上)
- 申し出や支払いがなければ撤去・合祀となる
特に公営墓地は規則が厳格で、管理費の未払いが続くと速やかに対応されてしまいます。一度撤去されてしまうと、元の状態に戻すことはほぼ不可能です。大切なお墓を守るためにも、管理費の支払いは忘れないようにしましょう。
田舎墓放置の悩みと現実
特に田舎にあるお墓がある場合「管理が難しい…」と感じる方も多いのではないでしょうか。その原因を見ていきましょう。
田舎墓を放置してしまう原因
- 田舎は過疎化や高齢化が進むことで管理する人がいなくなってしまった
- 山や郊外など交通の便が悪く、車がないと行けない
- 台風や大雨など自然災害で墓石が倒れるリスクが高い
- 地域の共同墓地も、管理体制が弱まっている
こうした事情から、田舎のお墓は「放置せざるを得ない」「どうしたら良いか分からない」と悩む方が増えています。
田舎墓の放置を防ぐための対策
田舎のお墓をしっかりと管理するためには、いくつかの方法があります。
- お墓参り・掃除代行サービスを利用する
- お墓の引っ越し(改葬)を検討する
- 永代供養墓や樹木葬への改葬
- 地域や自治体のサポート制度を活用する
お墓参りや掃除代行のサービスがあることをご存じでしょうか。年1回から定期契約まで、費用は1回1万円前後になります。忙しい時期や一時的に遠方に住んでいる場合などにおすすめです。
お墓を引っ越しするのもひとつの方法です。自分の住まいの近くや管理しやすい霊園へ移すことで、今後の管理が楽になります。
最近は、遠方のお墓でも手軽に管理できるサービスが増えてきました。自分に合った方法を選ぶことで、安心して供養を続けることができるでしょう。
継ぐ人や子どもがいない場合はどうすればいい?
「子どもがいない」「継ぐひとがいない」という場合、お墓の将来が心配になりますよね。実際に「お墓の継承者がいない」という理由で墓じまいを検討する世帯が増えています。
継承者がいないと起こること
- お墓が放置されると、無縁墓になりやすい
- 親族や甥・姪に負担がかかるケースもある
- 「ご先祖様に申し訳ない」と精神的な負担を感じることも
こうした不安を解消するために、近年は継承不要のお墓や供養方法が注目されています。
よろしければこちらの記事も参考にしてみてください。
▶ 跡継ぎがいない仏壇やお墓はどうする?先祖に感謝して処分しよう
継承不要のお墓・供養の選択肢
継承者がいない場合は「永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬」「散骨」などの方法も視野にいれてみましょう。簡単にですが、これらの方法について説明しますね。
永代供養墓 |
家族に代わって寺院や霊園が永続的に供養してくれるため、 管理の心配が不要。合祀と個人墓がある。 |
納骨堂 |
永代供養のひとつ。屋内の個別スペースに供養することができる。 管理が不要。 |
樹木葬 |
永代供養のひとつ。自然の中で供養することができ、管理が不要。 合同埋葬、集合埋葬、個別埋葬がある。 |
散骨 |
海や山へ遺灰を撒く方法で、費用も比較的安価。 |
費用の目安としては、永代供養墓が50~150万円、納骨堂が20〜150万円、樹木葬が20〜100万円、散骨が10〜30万円程度になります。
これらの方法であれば、子どもや親族に負担をかけずに、安心して供養を続けることができます。生前に「自分の死後、どうしてほしいか」ということを考えておくのもおすすめです。
永代供養について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
お墓の放置を防ぐために今できること
お墓の放置問題を未然に防ぐためには、家族や親族で早めに話し合うことがとても大切です。「お墓会議」として、将来の管理方法や費用分担について話し合っておくことをおすすめします。
話し合う内容としては、誰がどのように管理するか、費用はどう分担するかは必ず決めておきましょう。また、話し合った内容は「お墓ノート」などにまとめておくと、後々トラブル防止に役立ちます。墓地の使用権や管理費の支払い方法、連絡先の更新方法など細かいことまで家族で共有しておくと安心です。
墓じまい・改葬の検討
管理が難しい場合は、「墓じまい」も一つの選択肢です。墓じまいとは、現在のお墓をたたみ、遺骨を別の場所に移す「改葬」の手続きを行うことです。ここでは、簡単に墓じまい・改葬の手順を説明します。
- 改葬先の確保
- 改葬許可申請書の取得
- 現在の墓地から「埋葬証明書」をもらう
- 墓石撤去・遺骨の移動
費用は20〜50万円程度が目安になります。さらに、新しいお墓の費用も別途必要です。寺院墓地の場合は、檀家からの離脱手続きや離檀料が必要になる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
墓じまいについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
▶【保存版】墓じまいマニュアルはこちらですーみんなの永代供養
お墓の放置は早めに対策しよう
お墓を放置してしまうと、無縁墓になってしまったり、先祖に申し訳ないと感じたり、精神的な負担も大きくなります。こうしたトラブルを防ぐためにも、早めに家族で話し合っておきましょう。
お墓は「家族の思い出」と「ご先祖様を大切にする心」をつなぐ大切な場所です。みなさんが納得して大切にしていくことが、お墓との上手な付き合い方といえるでしょう。
「みんなの永代供養」ではお墓の悩みや永代供養についての情報が充実しています。
ぜひ参考にしてみてください。