合祀と永代供養の違いを解説。合祀する2つのタイミングも紹介
合祀と永代供養にはどのような違いがあるのかご存じですか?
耳にしたことはあっても、詳しい違いはわからないという人もいると思います。
そこで本記事では、
- 合祀と永代供養の違い
- 永代供養で合祀する2つのタイミング
- 永代供養の合祀墓を選ぶメリット・デメリット
- 永代供養の合祀墓の種類
- 永代供養の合祀墓にかかる費用相場
- 永代供養の合祀墓のお参りの仕方
について解説していきます。
お墓を購入しようとしているものの、合祀や永代供養の違いがよくわからなくて困っているという人に向けて、わかりやすく解説していますので違いを確認していきましょう!
目次
合祀と永代供養の違い
合祀と永代供養にはどのような違いがあるのか、イマイチわかりにくいですよね。
こちらでは、
- そもそも合祀とは
- 合祀と永代供養の違い
について解説していきますので、違いについて理解を深めていきましょう。
そもそも合祀とは
合祀とは、もともと神道でつかわれていた言葉で「複数の神様を一つに合わせて祀る(まつる)」という意味があり、読み方は「ごうし」です。現代では仏教の世界でも、他の人の遺骨とまとめて埋葬するときに「合祀」がつかわれており、合祀されて多くの遺骨が埋葬されたお墓のことを合祀墓と呼びます。
合祀と似た言葉に「合葬(がっそう)」という言葉があります。合葬の意味は「2人以上の遺骨などを1つの墓に合同で埋葬すること」です。意味だけを見ると合祀と同じように感じられますが、実際には大きな違いがあります。
2つの大きな違いは「埋葬するときに他人の遺骨と混ざるか混ざらないか」です。
合祀の場合は、骨壺から取り出した遺骨を血縁のない人の遺骨と合わせて埋葬しますが、合葬の場合は、骨壺のまま埋葬するため他の人の遺骨と混ざることはありません。
合祀と永代供養の違い
合祀と永代供養の違いは「埋葬方法か供養方法か」です。
合祀は、複数の人の遺骨をまとめて埋葬する方法ですが、永代供養は、納骨後の遺骨を寺院や霊園が永代にわたり供養・管理する方法のことです。
永代供養付のお墓を永代供養墓と呼びますが、合祀墓はいくつかある永代供養墓の種類のひとつと考えて問題ないでしょう。
そのため、永代供養の合祀墓に遺骨を埋葬したあとは、遺族がお墓の管理や供養を行えなくても、寺院や霊園が代わりに行ってくれます。
永代供養墓についての詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
永代供養墓を知ろう! 「永代供養」の意味やさまざまな永代供養墓の特徴をわかりやすく解説
永代供養で合祀する2つのタイミング
永代供養で合祀するタイミングには、以下2つがあります。
- 初めから合祀する
- 一定期間経ってから合祀する
それぞれ解説していきますので、チェックしていきましょう。
初めから合祀する
永代供養で合祀をするタイミングの一つ目は、納骨する際に「初めから」合祀するケースです。
初めから合祀するメリットは、他のお墓を経由しないため、その分費用を抑えられることです。
お墓は、種類によって高額な費用になるものもありますので、あまり費用をかけたくない人におすすめです。
一定期間たってから合祀する
永代供養で合祀をするタイミングの二つ目は、「一定期間経ってから」合祀するケースです。
永代供養墓には、一定期間個別供養したあとに合祀墓に移行するケースがあります。
個別供養期間は寺院や霊園によって異なりますが、回忌で区切るものや、5年、10年で区切るものが一般的です。
一度、納骨堂や個別墓などの他のお墓に納骨するため、初めから合祀するよりも費用はかかりますが、個別のお墓を参拝したいという親族がいる場合にはおすすめです。
永代供養の合祀墓を選ぶメリット・デメリット
こちらでは、
- 永代供養の合祀墓を選ぶメリット
- 永代供養の合祀墓を選ぶデメリット
について解説します。
永代供養の合祀墓を選ぶメリット
永代供養の合祀墓を選ぶメリットには、以下の2つがあります。
・一般的なお墓よりもトータル費用が安い
・お墓の将来を考える必要がない
どのようなメリットがあるのかチェックしていきましょう。
一般的なお墓よりもトータル費用が安い
一般的なお墓と比較すると、永代供養の合祀墓にかかるトータル費用はかなり安く済みます。
なぜなら、一般のお墓の場合にはお墓を建てる費用がかかるのはもちろん、檀家制度がある寺院では檀家に入るための入檀料などがかかるからです。
他にも、将来お墓の承継者がいなくなりお墓の撤去が必要になった場合には、解体・撤去にかかる費用も負担しなければなりません。
永代供養の合祀墓であれば、檀家制度がない場合がほとんどなので入檀料や離檀料を払う必要がありませんし、お墓を撤去する必要もありませんので、トータル費用はかなり安くなります。
お墓の将来を考える必要がない
総務省の2023年9月時点の調査報告によると、公営墓地・納骨堂を保有している765の市町村のうち445の市町村で無縁墓が発生しているという回答が出ており、その割合は6割近くに上ります。※1
少子高齢化の進む近年では、無縁墓の問題が取り上げられることもあり、お墓の今後について悩む人は多いと思います。
そんななか、永代供養の合祀墓であれば、お墓を承継できる子どもや親族がいない場合でも無縁墓になる心配がありませんので、お墓の将来についての悩みから解放されます。
参考資料
総務省「墓地行政に関する調査 ー公営墓地における無縁墳墓を中心としてー」の結果(概要)
永代供養の合祀墓を選ぶデメリット
永代供養の合祀墓を選ぶデメリットには、以下の2つがあります。
・血縁のない人の遺骨と一緒に埋葬される
・合祀したあとは遺骨を取り出せない
それぞれ解説していきます。
血縁のない人の遺骨と一緒に埋葬される
永代供養の合祀墓を選ぶデメリットは、まったく血縁のない人の遺骨と一緒にまとめて埋葬されることです。
これまで、お墓といえば「血縁者の遺骨だけを一緒に埋葬」するのが一般的でした。
そのため、合祀に馴染みのない人は永代供養の合祀墓に抵抗を感じる人も少なくないでしょう。
永代供養の合祀墓を契約したあとに、親族に大反対されるというトラブルも耳にしますので、契約前にはしっかりと話し合うことが大切です。
同意が得られない場合には「合祀しない永代供養墓」もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
合祀しない永代供養についてはこちらの記事も合わせてお読みください。
合祀されない永代供養とは?樹木葬、納骨堂、個人墓について解説!
合祀したあとは遺骨を取り出せない
永代供養の合祀墓では、あとから故人の遺骨を取り出すことはできません。
たとえば、合祀したあとに「やはり個別供養にしたいので遺骨を取り出してもらおう」と考えることがあるかもしれません。
しかし、合祀は他の人の遺骨と区別されない状態でまとめて埋葬しており、どの遺骨が誰なのか判断ができません。そのため、合祀したあとに特定の遺骨を取り出すことは難しいのです。
永代供養で合祀するお墓の種類
永代供養墓では「初めから」か「一定期間たったあとか」の違いはありますが、最終的にはどちらも合祀します。
そのときに合祀するお墓の種類には以下のものがあります。
- 慰霊碑型合祀墓
- 樹木葬型合祀墓
それぞれ解説していきます。
慰霊碑型合祀墓
慰霊碑とは、事故、戦争、災害などで亡くなった人の霊を慰めるために建設される石碑のことです。
慰霊碑型合祀墓の場合も同様に、故人の霊を慰める目的で仏像や石碑などの慰霊碑が建てられ、その下に遺骨を埋葬するスペースが設けられています。
樹木葬型合祀墓
樹木葬型合祀墓は、墓石の代わりに樹木や花などをシンボルにして、その根元に複数の遺骨を合祀します。
樹木葬型合祀墓とひとことで言っても、公園型や里山型、ガーデニング型などいくつかの種類があるのが特徴です。
永代供養の合祀墓にかかる費用相場
合祀墓にかかる費用相場は3万〜30万円で、項目の内訳は以下のようになっています。
- 永代供養料:遺骨を永代にわたり管理・供養してもらうための費用です。契約のときに一括で支払います。
- 納骨料:遺骨を埋葬するための費用です。お坊さんに読経してもらう場合などは費用が追加されることも多いので、依頼する場合には注意しましょう。
- 彫刻料:石碑や金属板などに故人の戒名などを刻む墓誌(ぼし)にかかる費用です。
費用の価格設定は寺院や霊園によって大きく異なるため、あらかじめしっかりと確認しておきましょう。
永代供養の合祀墓のお参りの仕方
永代供養の合祀墓には、共用の参拝スペースが設けられていることがほとんどなので、このスペースで線香をあげたりお花を供えたりします。
多くの故人が眠っており、お盆などの時期には同じタイミングでお参りに来る他の遺族で混雑する場合がありますので、そのときはゆずり合ってお参りしましょう。
寺院や霊園によっては、お供え物を禁止しているケースもありますので、お参りの前にあらかじめ確認しておく必要があります。
まとめ
永代供養の合祀墓は、お墓の承継者が不在でも無縁仏や無縁墓になる心配がないため、少子高齢化が進む近年には欠かせないお墓のあり方のひとつと言えます。
永代供養の合祀墓選びで大切なことは、メリット・デメリットをしっかりと理解することです。そのうえで、納得のいく合祀墓選びを始めてみましょう!