【まるわかり】永代供養と墓じまいの違い。かかる費用内訳も解説
「子どもが上京して戻らないからお墓の承継をお願いしづらい」
「お墓の場所が遠くてお参りに行けないから掃除ができない」
「独身だからお墓の承継者がいなくてお墓の今後が心配」
など、昔と違い、お墓の将来について悩みを抱えている人は年々増加しています。
少子高齢化が進む近年、お墓の承継問題はとても大きく、インターネットやテレビなどで「永代供養」や「墓じまい」というキーワードが取り上げられているのを目にすることも多くなりました。
しかし、人生の中でお墓の問題と向き合う機会はあまりないため、「永代供養」と「墓じまい」の違いがいまいちわからない人もいると思います。
そこでこちらの記事では、
- 永代供養と墓じまいの違いは何か
- 墓じまい後の遺骨の管理方法
- 墓じまい後に永代供養にするメリット
- 墓じまいと永代供養にかかる費用
- 墓じまい後に永代供養をする手順
について解説しています。
墓じまいなどお墓の将来を考え始めている人は、こちらの記事を読んで永代供養と墓じまいの違いや、遺骨の管理方法の違い、墓じまいをするときの手順などを確認し、お墓のこれからについて考えてみましょう。
目次
永代供養と墓じまいの「違い」は供養方法か片付けか
永代供養と墓じまいの違いは、結論からいうと供養方法か片付けかです。
ここでは、永代供養や墓じまいとはどのようなものかを簡単に解説しますので、違いを確認していきましょう。
【永代供養と墓じまいの違い】永代供養は供養方法
永代供養とは、寺院や霊園が納骨された遺骨を「永代」にわたり管理・供養してくれるものです。永代供養付きのお墓は「永代供養墓」と呼ばれます。
永代供養墓は一般的なお墓と違い、お墓の承継者が不要なため、生涯独身の人や子どもがいない夫婦、子どもにお墓の負担をかけたくない夫婦などに人気です。
永代供養墓には、個別に納骨して供養する「個別の供養期間」が設定されていることが多く、期間中は他の遺骨と区別されて管理されます。永代供養墓の個別の供養期間は寺院や霊園によって違いますが、期限を過ぎると血縁のない人の遺骨と一緒にまとめて埋葬される合祀(ごうし)に移行するケースがほとんどです。
永代供養墓について詳しい内容はこちらをご覧ください。
【永代供養と墓じまいの違い】墓じまいは片づけ
墓じまいとは、強制的とは違い自主的にお墓から遺骨を取り出した後、墓石を解体・撤去し、使用区画を寺院や霊園に返還することです。
承継の心配がなかった昔と違い、近年は少子高齢化や地方の過疎化によってお墓が放置されて荒れた状態になる「無縁墳墓」が問題となっており、墓じまいを検討したり、実際に墓じまいを行う人が増えています。※1
※1参考:総務省「墓地行政に関する調査」
墓じまいの詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
【墓じまいのやり方】具体的な流れから手続きと費用までを解説!
墓じまい後の遺骨を管理する3つの方法
墓じまいで取り出した遺骨は、正しい方法で保管する必要があります。
日本の法律では「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」となっているため、動物の骨とは違い、人の遺骨をゴミに捨てたり自宅の庭に埋めたりすることはできません。※2
墓じまい後の遺骨を管理する一般的な方法は以下の3つです。
- 永代供養
- 手元供養
- 一般墓
それぞれ解説していきますので、違いを確認していきましょう。
※2参考:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」
1. 永代供養
永代供養には、合祀墓、納骨堂、個人墓、樹木葬など、特徴に違いのあるお墓がいくつかあります。
一般的なお墓と違い、永代供養墓は個別の供養期間が終了した後に合祀されるのが基本で、これをデメリットと感じる人もいます。
しかし、寺院や霊園によっては合祀しない永代供養墓を取り扱っていることもあるので、合祀をしたくない人は探してみましょう。
合祀されない永代供養とは?樹木葬、納骨堂、個人墓について解説!
2. 手元供養
墓じまいをした後の遺骨は、手元供養をするという方法もあります。
手元供養とは、どこかに遺骨を預ける方法と違い、全部または一部の遺骨を自宅などの身近なところに保管して供養する方法です。
いつも故人を身近に感じられるメリットがありますが、遺骨の管理が不適切だと、大切な遺骨にカビが生えてしまうなどのデメリットもありますので注意が必要です。
3. 一般墓
新たな一般墓を建てるのも、墓じまい後の遺骨を管理する方法のひとつです。
今までと変わらない方法でお参りをしたり供養したりできますが、永代供養や手元供養と比較すると費用が高くなりがちなので、予算をしっかりと考えたうえで検討しましょう。
墓じまい後に永代供養にするメリット
墓じまい後に永代供養を選択した場合の、他のお墓と永代供養の「メリットの違い」がどのようなものかよくわからない人も多いのではないでしょうか。
墓じまい後に永代供養にするメリットは以下の3つです。
- 永代供養は無縁仏・無縁墳墓になる心配がない
- 永代供養は管理が簡単
- 永代供養は定期的な供養を考える必要がない
それぞれ解説していきますので、永代供養と他のお墓や供養方法との違いをチェックしてみてください。
永代供養は無縁仏・無縁墳墓になる心配がない
他と違う永代供養の最大のメリットは、お墓の承継者がいなくても無縁仏・無縁墳墓になる心配がないことです。
永代供養は、寺院や霊園が存在する限りは「永代」にわたり遺骨を管理・供養してくれます。そのため、もしも遺族の身に何か起きたとしても遺骨やお墓が放置されることはなく、無縁仏や無縁墳墓になる心配はありません。
一方、手元供養は永代供養と違い、供養している人の身に何かあった場合、遺骨の引き取り先がないと無縁仏になる可能性がありますので、あらかじめ引き取り先を確保しておくことが重要です。
永代供養は管理が簡単
一般的なお墓は、草むしりなどの掃除を定期的に行う必要があり、放置すると寺院や霊園から指摘されることも。この場合、遠方に住んでいたり高齢でお墓参りが難しかったりすると、急な対応が難しく業者に依頼することになるでしょう。さらに、綺麗な状態を維持するためには定期的な依頼も必要なので、継続的に出費がかさむ可能性があります。
永代供養であれば、一般的なお墓と違い掃除などの維持管理も「こみこみ」。掃除ができなくても寺院や霊園が対応してくれますので管理が簡単です。
永代供養は定期的な法事を考える必要がない
法事はお盆や回忌ごとに行うのが一般的ですが、永代供養であれば供養も永代に渡り寺院や霊園が行ってくれます。
そのため、一般的なお墓と違い、もしも法事の準備ができなくなったとしても色々と考える必要がないので安心です。
「永代供養」をお願いしたら法事をしなくていいのは本当なの?
墓じまいと永代供養にかかる費用
墓じまいと永代供養にかかる費用は、合計で約50〜200万円が相場です。
とはいえ、墓じまいをする区画の面積や場所、永代供養墓の種類によっても大きく違いがあるので、実際にはこれ以上の費用がかかるケースも多々あります。
墓じまいと永代供養にかかる費用内訳をそれぞれ解説していきますので、参考にしてみてください。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる一般的な費用の目安は以下のとおりです。
- 撤去費用:約10~30万円
- 書類 :約300~3,000円(改葬許可証、埋葬証明書、受入証明書など合わせて)
- お布施 :約10万円
- 離檀料 :約5~20万円
撤去費用、お布施、離檀料は、地域や条件などによっても大きく違いがありますので、あらかじめ石材店や寺院・霊園に確認しましょう。
永代供養にかかる費用
- 永代供養墓代:3万~150万円
- 年間管理費:無料~1万円
永代供養の場合、お墓代とは別に永代供養料がかかることもあります。寺院や霊園によって内訳料金に違いがありますので、事前にしっかりと確認しましょう。
また、年間管理費も寺院や霊園によって金額に違いがあります。管理費不要のところも多いので、こちらもしっかりと金額の違いを確認しておきましょう。
墓じまい後に永代供養をする手順
墓じまいをした後に永代供養をする手順は以下の通りです。
- 家族や親族に相談
- お寺や霊園に相談
- 遺骨を移転先を探す
- 石材店や専門業者で見積
- 役所で改葬許可をもらう
- 閉眼供養・遺骨の取り出し
- 墓石の解体・撤去
- 永代供養墓に納骨
墓じまいを考えているなら、まずはしっかりと家族や親族と話し合い、意見のすれ違いがなくなってから寺院や霊園に相談しましょう。
墓じまいのトラブルで多いのは、親族間で意見がすれ違うことや高額な離檀料を請求されることです。※3
特に先祖代々続いていたお墓の場合は、お墓に対して自分とは違う特別な感情を持っている親族がいる可能性もありますので、気持ちに寄り添って相談するようにしましょう。
また、寺院や霊園に伝えるときには、決定事項として伝えるよりは「相談」から始めるのがおすすめです。相談もせずに勝手に進めてしまうと、心証を悪くして離檀料の金額に違いが出るかもしれません。
寺院や霊園とのすれ違いがおきないように、これまでお世話になった感謝を伝え、円満な墓じまいができるようにしましょう。
※3参考:国民生活センター「墓じまい 離檀料に関するトラブル注意(見守り情報)」
まとめ
永代供養は「永代にわたり寺院や霊園が供養・管理してくれること」、墓じまいは「お墓を解体・撤去して片づける」という違いです。
墓じまいを検討するのであれば、お墓から取り出した遺骨の管理方法についても考える必要があります。本記事では、永代供養などの3つの管理方法を解説していますので、それぞれの違いについて確認してみてくださいね。
永代供養や墓じまいのメリット・デメリット、遺骨の管理方法の違い、費用の違いなどさまざまな角度から検討して、一番希望に沿ったお墓のあり方を探してみてください。